大切な腎臓のために
移植後の日常生活では、移植腎の為に特にどの様な事に気を付けて生活をしていますか。
大西さん:
とにかく、風邪を引かないように気を付けています。また、食事がおいしいので、食べ過ぎにならないようにしています。でも、たまにはがっつりと食べますね(笑)。
血圧管理のために、寝不足、疲れに気をつけています。また、仕事が動物相手ですから、咬傷、引っかき傷等、動物からの感染症には十分注意しています。
奥様:
家で飼っている動物たちも、主人が移植を受けてからは、動物(特に鳥)のいるスペースと居住スペースとの間にしっかり三重の仕切りを設けて、マスクをしっかりして私が世話をするようにしています。
奥様はドナーとなられてから、どのような生活をされていますか。
奥様:
私は以前と変わらず、毎日、仕事もプライベートも充実して、元気に過ごしています。病気もしていません。普段は、風邪を引かないようにすることと、脱水にならないように気をつけて、二つ分の働きをしてくれている残った腎臓を大切にしています。
毎日の血圧、体重等の記録はどの様な方法で行っていますか。
大西さん:
これについては落第ですね。本当は先生には内緒にしておきたいくらいです。退院後1年間はきっちり記録を付けていましたが、最近は怠けています。ただ、体重は毎日量っています。血圧は、思い出した時に測定しています。診察日には体温も測っています。
野島先生:
せっかく移植をしたので、その辺りはあまり神経質になることもないと思います。ただ、病気であることを完全に忘れていいほどの治療ではないので、それは忘れずに、でもあまり神経質にならずにご自分でうまくコントロールいただければと思います。血圧はやはりまめに測る事を強くお勧めします。何か変わったことがあれば早めに受診いただければと思います。
移植後、新たに始めた事や、今後の夢はありますか。
大西さん:
ゴルフを始めました。特に夢はありませんが、良い状態がいつまでも続けられるようにしたいです。
メッセージ
最後に、現在、移植を検討している方や移植を待っている方にメッセージをお願いします。
大西さん:
生体・献腎移植が受けられる人は、とても幸せな人です。透析が終わるのも間近です。頑張ってください。ただ、移植をしても、拒絶や感染のリスクもありますし、移植した腎臓も必ずしも永遠ではないですし、すべてがうまくいくわけではない事も知っておいてほしいと思います。
奥様:
ご親族の方が、辛い闘病生活を送っていらっしゃるお姿を見るのは悲しいことだと思います。移植手術をして元気になられたら、本当にうれしいです。レシピエントと一緒に幸せを感じられます。ご親族の方だけでなく、ドナーの方ももっと元気になれると思います。レシピエントの方はお元気になったら、今まで出来ないと諦めていた事にチャレンジして、新たな人生を送る事ができると思います。
大西さん:
最後に、動物の世話命の妻が、二週間の時間を作ってよく提供してくれたと本当に感謝しています。また、野島先生をはじめとした兵庫医科大学病院の方々にも大変感謝しています。これからもたくさんの腎不全患者さんを助けてあげていただきたいと思います。
先生、最後に夫婦間移植をお待ちの方にメッセージを頂けますか。
野島先生:
ご自分の体にメスを入れ、臓器を提供するという行為は間違いなく、とても深い愛情がないとできないことです。同時に、臓器を提供することによって、移植を受ける方が元気になったり、希望を取り戻したり、喜びを感じることは、横で一番近くにいるドナーの方自身もハッピーにしてくれます。健康な腎臓を二人で分けて、二人で幸せになるというのが夫婦間の移植医療だと思います。
ただ、同時に移植後に離婚されるご夫婦も実際にはいらっしゃいます。夫婦間移植をご検討の方々には、移植前に十分時間をかけて考えていただき、お二人で納得した上で治療を受けていただくのがとても重要だと思います。