イチゴと桃を堪能して
移植後、お母様に対して、何かイベントなどは行っていらっしゃいますか。
高橋さん:
これから親孝行をしたいと思っています。母とは京都に行きたいですね。
移植をしてから一番良かったこと、嬉しかったことはどのようなことですか。
高橋さん:
透析の時間が苦痛でしたから、その時間が無くなったことがとても大きいです。あとはやはり、自分の好きなものを食べられるようになったことがうれしいです。
制限されていた分、「これも食べていいよ」と言われた時は、すごくうれしかったですね、特に、イチゴと桃ですね(笑)。
それから、むくみも気にならなくなりました。だるさも無くなり、モチベーションが常に高くなった感じがします。
「面倒だ」と思っていたことが、「今やろう」と思えるようになりました。
移植後の日常生活では、移植腎のために、特にどのようなことに気を付けて生活をしていますか。
高橋さん:
ウォーキングやストレッチをして体重管理をしています。ウォーキングは1回に2時間くらいやっています。友達と歩くことが多いので、気付いたら2時間たっているという感じですね。近所のスポーツ公園のグラウンドが広いので、そこをずっとぐるぐると、腕を振って歩いています。多いときには週に4回くらい行っています。
先生、運動療法などは指導されているのですか。
圷先生:
現在、理学療法士の方が、移植後の運動療法のメニューを検討してくれています。
移植した後に筋力が弱って、ポッコリと下腹が出てしまう人が多いのですが、運動で改善できればいいですね。
日常の服薬や、血圧、体重などの記録はどのような方法で行っていますか。
高橋さん:
薬は、仕切りのあるケースにその日の分を入れて持ち歩いています。
血圧は測れないことが多いのですが、体重は朝と夜に量って、朝・昼・晩と食べたものを書いています。レコーディングダイエットのような感じです。
そういう記録は、外来のときに持参してもらっているのですか。
橋詰コーディネーター:
持参していただきご相談いただけたらと思います。
当院では、診察ごとに「移植後問診票」を記入していただいています。「体温・血圧・脈拍・体重」と「1日分の尿量」を測定してきてもらっています。
今後の夢はありますか。
高橋さん:
結婚して、子どもが欲しいです。
橋詰コーディネーター:
当院では、移植後に出産した方が3人いらっしゃいますね。
高橋さん:
先生、出産しても、腎機能は悪くなりませんか。
圷先生:
人によります。ただ、妊娠中はきちんとした管理が必要ですね。塩分制限も必要になってくると思います。
ただ、サイトメガロウイルスは問題ですね。サイトメガロウイルスが出ているときは、妊娠できないかもしれません。
感謝とメッセージ
先生方へお伝えしたいことはありますか。
高橋さん:
圷先生をはじめ、外科の先生、看護師さんのおかげで、元気に過ごさせていただいています。入院生活中も、先生にはとても親身に相談に乗ってもら
い、不安もありましたが、安心して手術を受けられました。本当に感謝しています。ありがとうございます。これからもよろしくお願いします。
ドナーのお母様への思いを教えてください。
高橋さん:
ドナーになってくれた母には、言葉では表しきれないほど感謝しています。移植前、母が「絶対大丈夫。お母さんもがんばるから、あなたも一緒にがんばろうね!」と言ってくれた一言が、今でも忘れられません。母の腎臓が、私の一部になっているのだと考えると、「いつでも隣にいてくれている。一人じゃないんだ。」と日々思います。
現在、移植手術を控えている、または移植手術を検討しているレシピエントやドナーの方へメッセージをお願いします。
高橋さん:
私は、移植をして本当に良かったと思います。最初は、移植することに対して、ものすごく不安があり、抵抗もありました。でも、先生の分かりやすい説明、看護師さんのお話、移植された方からのアドバイスや、元気に過ごしていらっしゃる姿を見て、勇気を持つことができました。移植した今は、日々元気に過ごし、とても充実した毎日を過ごさせてもらっています。
友だちと遊びに行ったり、ショッピングをしたり、家族との時間を前よりも大事にするようになりました。もともと母とは仲が良かったのですが、病気になってからは、父ともすごく仲良くなりました。
圷先生:
高橋さんには、お母様から頂いた腎臓を大事にして、透析のない生活を思い切り自由に送ってもらいたいと思います。そのためには、自己管理をしっかりと行い、定期的に病院に来て、薬をきちんと飲んでくださいね。
橋詰コーディネーター:
高橋さんのお話をお聞きして、患者さんの夢を叶えるサポートをしていきたいという気持ちがさらに強くなりました。妊娠・出産や仕事の充実など、腎不全になったことで叶えられなくなってしまった夢を、腎移植によって取り戻してほしいですね。また、そういった情報共有のためにも移植前の患者さん同士がもっと交流できるように力を入れていきたいと思います。
最後に先生から、現在移植を検討している方へメッセージをお願いします。
圷先生:
特に若い方で、移植できる機会があるのであれば、移植をしていただき、仕事や結婚など、普通の人と同じように楽しんでもらいたいと思います。
移植を検討されている方は、ぜひ当院の移植情報センターにまずはご相談ください。