移植手術に向けて
移植手術の前には、お父様とは、どのようなお話をされましたか。
竹林さん:
父がすごく自然な流れで提供を申し出てくれたので、改めてじっくりと話をすることはありませんでした。
当時、お父様は、お仕事をしていらっしゃったのでしょうか。
竹林さん:
当時、父は57~58歳くらいで、まだ仕事もしていました。提供してくれる父に、私よりもたくさんの検査をしてもらわなくてはならなかったので、「本当に申し訳ない」と思っていました。
移植手術が決まってから、実際の手術までの期間はどのくらいでしたか。またその期間の生活で特に気を付けていたことがあれば教えてください。
竹林さん:
移植のために奈良医科大学附属病院を受診したのですが、ちょうどその頃から尿毒症の症状が出始めたため、まず透析導入して、その後、移植手術を受けるということになりました。いろいろな検査を丁寧にしていただいたので、移植までの期間は約1年でした。その間に自分ができることといえば、食事管理をきちんと行うことでした。私の場合は透析期間も短かったせいか、尿も出ていましたので、水分制限も特になく、食事管理の上ですごく助かりました。
順調な日々
そして移植手術の日を迎え、無事に手術を終えられたわけですが、その時の心境を教えてください。
竹林さん:
手術後、父の様子を聞くと、「大丈夫ですよ」と言ってもらえたので、まずホッとしました。尿についても、手術前には、「手術後すぐに出る人と出ない人がいます」と聞いていましたが、「順調に出ていますよ」と言われ、本当にうれしかったですね。
手術後の経過はどうでしたか。
竹林さん:
移植後は拒絶反応などもなく、これまでとても順調に過ごしてきました。
ただ、風邪は腎臓に悪いので注意をしていたのですが、一度だけインフルエンザにかかってしまったことがあり、すごく焦りましたね。それ以外は、本当に何もありません。
米田先生:
竹林さんは、移植後とても順調で、合併症や入院なども全くありません。私が覚えている移植後に起こった困った出来事と言えば、お子さんに買ったクリスマスプレゼントの隠し場所を竹林さんが忘れてしまって、クリスマスにプレゼントできなかったという話くらいですね(笑)。その話しか思い出せないくらい、本当に何事もなく順調です。
大好きな果物をほおばって
移植後、お父様に対しては何か特別にイベントなどは行っていますか。
竹林さん:
特にイベントなどはしていませんが、孫を連れてよく実家に帰っていますので、食事を一緒にすることが多いですね。また、今年のお正月には、一緒に四国へ旅行しました。父からもらった腎臓を1日でも長くもたせるために、大切にしていきたいと思っています。
移植をしてから一番良かったこと、うれしかったことはどのようなことですか。
竹林さん:
やはり、透析中心の生活がなくなり、食べ物に関しても、大好きだった果物が食べられるようになったことです。
また、透析日を気にせずに旅行できるようになったこともうれしかったです。
果物は何がお好きなのですか。
竹林さん:
梨やメロン、ブドウなど、季節ごとのフルーツは何でも好きですね。
移植前はカリウム制限のために、食べることができませんでしたので、生で果物を食べられるということが本当にうれし
いです。
旅行は毎年行っているのですか。
竹林さん:
はい、毎年行っています。透析をしていた時は、朝一番に透析を受け、1泊2日で出掛けていましたが、現在は曜日を気にせずに2泊3日の旅行もできるので、とても充実しています。子どもと一緒に行ったディズニーランドも、とても楽しかったですね。
家族みんなでうがい・手洗い
移植後の日常生活では、移植腎のために、どのようなことに気を付けて生活をしていますか。
竹林さん:
当たり前のことですが、規則正しい生活を心がけ、薬をきちんと飲み、体重、血圧、水分に気を付けています。
また、主人、子どもにもうがい・手洗いを心がけてもらい、風邪を引かないように注意して生活しています。やはり皆が外から菌を持って帰ってくるので、私の努力だけではどうにもならないですから。
家族みんなでうがい・手洗いを徹底するというのは、とてもいいことですね。
米田先生:
そうですね。当院では、インフルエンザの予防ワクチンについても、必ずご家族全員に受けてもらっています。
術後もそのような指導を行っています。
日常の服薬や、血圧、体重等の記録はどのような方法で行っていますか。
竹林さん:
服薬は朝・夕8時に携帯のアラームを鳴らし、飲み忘れがないようにしています。体重は、毎朝起きてすぐに
量るようにしています。
移植後、新たに始めたことや、今後の夢はありますか。
竹林さん:
透析導入前はパートで働いていたのですが、尿毒症の症状が出始めてからは辞めていました。移植後は、週3~4回、パートで仕事を再開しました。
今後はこのまま、頂いた腎臓と1日でも長く一緒に過ごして、子育てが一段落したら海外旅行にも行ってみたいです。