家族の力
主治医への思いを教えてください。
竹林さん:
感謝の気持ちでいっぱいです。とても信頼しているので、今後も先生の指示をきちんと聞いて、ずっと順調に過ごせたらと思っています。
1カ月に1回、外来に伺う際には、何か症状があるわけではないのですが、「腎機能は悪くなっていないだろうか」と少し緊張しています。「大丈夫だろう」とは思っているのですが、検査結果を聞くまではやはり不安ですね。でも、先生はいつも優しくフレンドリーに、心配な点など、質問したことに対してきちんと答えていただけるので、外来のたびに安心しています。
米田先生:
竹林さんは、こちらから指示をしなくてもきちんと自己管理をしていらっしゃるので、移植後も本当に順調で、外来の際に注意をしなければならないこともありません。診察はほとんど雑談になってしまいますね(笑)。
お父様への思いを教えてください。
竹林さん:
毎日、普通の生活や仕事ができるのは、父のおかげだと日々感謝しています。ドナーになったために、父の体に何かあったらどうしようと思うときもあります。いつまでも元気に過ごしてほしいです。
感謝の気持ちを、お父様に直接お伝えしているのですか。
竹林さん:
「ありがとう」と言うわけではありませんが、やはりいつも気にはしています。ですから、父のドナー健診のときには、「結果はどうだった?」と毎回聞くようにしています。
先生、ドナー外来は、どのくらいの頻度で行っていらっしゃるのですか。
米田先生:
最初は半年に1回くらい来ていただいています。血液検査や、血圧・体重を確認し、必要な場合には生活指導などを行います。落ち着いてきたら、1年に1回くらいの受診頻度になります。
夫婦間移植など、レシピエントとドナーが一緒に住んでいらっしゃる場合は、外来も二人で一緒に来られる方が多いですね。
竹林さんも、お父様と一緒に診察に来られることがあるのですか。
竹林さん:
私はありません。恥ずかしいので(笑)。
ご家族に対して、お伝えしたいことはありますか。
竹林さん:
移植手術の時には、私の子どももまだ小さかったので、主人や母、義母、義父にもとても助けてもらいました。また、弟がドナーに名乗り出てくれた時は、本当にうれしかったです。私の移植に関わってくれた家族皆に、心から感謝しています。
ご家族の大きな支えで、移植ができたのですね。
竹林さん:
そうです。主人も、結婚した時も、子どもを産んでからも、移植については理解してくれていました。家族皆が、「透析を長い間続けるよりも、移植をした方がいい」と思ってくれていたと思います。
米田先生:
竹林さんの移植手術は、本当に、「家族全員で成功した移植手術なんだな」という感じがしています。
メッセージ
現在、移植手術を控えている、または移植手術を検討しているレシピエントやドナーの方へメッセージをお願いします。
竹林さん:
色々な不安や思いがあると思いますが、自分が納得のいくまで、先生や先輩移植者の方々の話を聞いて、決められると良いと思います。私自身は、移植をして良かったと思っています。
最後に、米田先生からもメッセージをお願いします。
米田先生:
移植は、楽しくてゆとりのある充実した人生を送ることができる、QOL(生活の質)をとても上げることができる治療です。
竹林さんのお話をお聞きすればよく分かりますね。やはり、患者さん皆が、こうやって元気になられて、素敵な人生を歩めるようになってほしいです。それを願って、私たちも、「移植が少しでも広がるように」と頑張っています。人に腎臓を頂くということは、なかなか抵抗があることかもしれないですが、腎移植医療はきちんとした治療の1つですので、思い切って話をしてみて、もしも、「提供を考えてみようかな?」と言ってくださる方がいらっしゃるのであれば、まずは説明を聞くところから始めたら良いと思います。「とりあえず話を聞きたい」ということでもいいので、ぜひ私たちの所に来ていただき、「移植とはどのようなものなのか」という話を聞き、考えていただければと思います。
先生は、移植で元気になられた方をたくさん診ていらっしゃるので、確信があるということですね。
米田先生:
そうですね。また、同時に私たちは透析患者さんも診ています。日本の透析は、非常に良い治療なのですが、私は、やはり移植の方が、よりQOLが高くなる治療だと思っています。しかしながら移植医療は「提供者がいないとできない」という難しい面も抱えています。ですから、移植ができる機会がある方には、ぜひチャレンジしてほしいですね。自分から、「提供して欲しい」とは言えなくても、私たちが説明をすることによって、その一助になれたらと思っています。