移植手術に向けて
移植前のレシピエントやドナーには、どのようなことに注意をしてもらっていますか。
平野先生:
基本的なことですが、まずは体調を崩さないように、健康管理に気を付けるようにお話ししています。
また塩分を取りすぎないなど、食事管理もきちんとしていただくようにお伝えしています。現在はレシピエント移植コーディネーターが、レシピエントに対しても、ドナーに対しても、最初からしっかりと指導を行っています。
移植手術前の検査にはどのくらいの期間がかかりましたか。
大橋さん:
2カ月間くらいだったと思います。自分にとっては特別につらいと感じる検査はありませんでした。
奥様:
私はドナーの術前検査で、腸の検査のときに2Lくらいの下剤を飲むのがつらかったですが、それ以外の検査は気付いたら終わっていました(笑)。
手術は怖くありませんでしたか。
奥様:
全然怖くありませんでした。主人は、「仕事がしたい、仕事がしたい」と言っていたので、透析になってしまうと、主人の仕事の場合思うように仕事ができなくなるので、かわいそうかなと思い、提供を申し出ました。私はそれまで大きな病気をしたことがなく、病気に関して疎かったので、不安も無く躊躇せずに踏み出せたのだと思います。
手術前にはご夫婦でいろいろとお話しされましたか。
奥様:
特にしていないですね(笑)。病院には兄弟たちも来ていましたので、手術直前まで談話室で話をしていました。そのまま談話室で移植手術前の透析に行く主人を見送りました。
手術後のことは覚えていらっしゃいますか。
奥様:
目覚めると、周りに兄弟など大勢の人がいたのを覚えています。
大橋さん:
私は術後目覚めたあと、しばらくすると、目をつぶると以前見たような映像がずっと出てくるという状況が続きました。最初は何が起こっているのかが良く分からなかったのですが、移植コーディネーターの方から、「術後はしばらく幻覚が見えることがありますが、心配しなくて大丈夫ですよ」と言われ、3日ほど我慢していると、その後は見えなくなりました。
手術後の回復は順調でしたか。
奥様:
私は出産以来の入院だったのですが、術後1週間を過ぎたころ、人生で一番つらい便秘になりました。また、術後2週間くらいに貧血を起こして倒れてしまい、入院期間が予定より1週間ほど延びましたが、それ以降は特に問題なく退院しました。
退院後の体調はいかがですか。
奥様:
特に何もなく、元気にやっています。
大橋さん:
私は退院後、一度帯状疱疹にかかったことがあります。体力をつけたいと思い、懸垂やスクワットをしていたので、身体に負荷がかかり過ぎてしまったのかもしれません。まだシャントが残っていたので、看護師さんから懸垂はやめるように言われました(笑)。
平野先生:
大橋さんは帯状疱疹にかかり、その後少し拒絶反応もありましたが、それ以降は特に問題ないですね。