毎日一緒に
現在はどのようなことに気を付けて生活をしていますか。
奥様:
主人も私も食べ過ぎには注意しています。主人はマクドナルドとロッテリアのハンバーガーとポテトが大好きなのですが、最近、しばらく食べないように我慢しようという話をして、今、ちょうど1週間経ったところです。
大橋さん:
透析のときにはあまり食べられなかったですから。今は特に制限がなく、なんでも食べられるのがうれしくて、気を付けないとついつい食べ過ぎてしまいますね。
移植後はどのくらいの頻度で通院していますか。
奥様:
主人は1カ月に1回ですが、私は半年に1回です。血液検査やエコーなどを受けています。
移植後はお二人の時間が増えましたか。
大橋さん:
妻とはずっと一緒にいます。普段の買い物なども含めてずっと一緒にいますし、旅行も一緒ですね。私は妻が大好きなので(笑)。昔はよく社員を連れて毎晩飲み歩き、朝帰りしていましたが、妻はずっと待っていてくれました。本当に感謝しています。
奥様:
私は本当は1人でいるのが大好きなんですけどね(笑)。主人の腎臓が悪くなったのは、その頃の不摂生がたたったんだと思います。
大橋さん:
私は特にお肉が大好きで、高級なお肉を、1年間、朝昼晩とずっと食べ続けていたこともありました。そのため、3年前の硬膜下血腫の手術までは体重が80kgくらいありました。現在は64kgくらいです。
これまで九死に一生を得たことが何回かありますが、いつも私を助けてくれる人が周りにいてくれたので、なんとかここまでくることができました。本当に感謝しています。
奥様:
主人には助けたい魅力なんて何もないのに不思議ですね(笑)。
ご主人は運と縁に恵まれている方なのですね。お仕事はこれからも続けるのですか。
大橋さん:
今は休んでいますが、仕事のための資格の勉強をしています。私は何をするにも1番にならないと嫌なので、もう1回会社をつくりたいと思っています。このままじっとしていたら面白くないですから。
奥様は腎提供後、新たに始めたことはありますか。
奥様:
だんだん体力が落ちてきている感じがしているので、近所の気軽に運動できるスポーツジムに通い、運動を始めようと思っています。
平野先生:
基本的には、レシピエントには、移植後ある程度期間が経ち移植腎機能が安定したら、どんどん動いて、運動するように指導しています。ドナーの方ももちろん運動したほうがいいですね。
大橋さんも移植後、運動をしていますか。
大橋さん:
卓球に通っていますし、これからはゴルフにも行こうと思って練習しています。
透析を受けていたころとは違い、動けるので本当にうれしいですね。私は何でも自分でやってみたい人間なので、これからもいろいろなことに挑戦したいと思っています。
今後、お二人でどのようなことをしたいですか。
奥様:
旅行がしたいですね。
大橋さん:
妻は温泉が好きなので、これからどんどん一緒に行きたいと思っています。
移植を検討されている方へのメッセージ
もし、周りに腎移植を検討されている方がいらっしゃったら、勧めますか。
奥様:
その方の状況にもよると思いますが、やはり勧めると思います。もし自分のお子さんが腎不全だったら、腎提供する方がほとんどだと思いますが、ご主人や奥様の場合でも、考えてみたらどうかとお話しすると思います。レシピエントは移植によって元気になりますし、普通の生活ができるようになります。私は提供して良かったと思っています。
また、移植は先生や看護師さんへの信頼がないとできません。私たち夫婦は信頼できる先生や看護師さんに出会えたので、移植ができたのだと思います。加えて、私たちに移植に対する偏った知識がなく、全く先入観がなかったのが逆に良かったと思っています。まずは断片的な知識で自己判断せずに、信頼できる病院を探して、話を聞いてほしいと思います。
大橋さん:
私の場合は幸せなことにドナーとなってくれる妻がおりましたが、もし提供していただける方がいらっしゃるのであれば、移植を考えたほうがいいと思います。移植を受けるには、周りで後押しし、協力してくれる人が必要ですので、1人で考えずに、先生や周りの人に相談してほしいと思います。
最後に先生から、腎不全患者さんへのメッセージをいただけますか。
平野先生:
私は外来で多くの移植後の患者さんに接していますが、移植後、とても元気になり新しい仕事をしようという意欲が出てくる方も多く、移植医療の力を実感しています。
現在は血液型が違っても、高齢でも移植は可能です。当院の腎不全・腎移植総合管理センターでは、術前、術後を通して、医師やコーティネーターを中心に患者さんをしっかりと診る体制が整っていますので、まずは話を聞きにきてほしいと思います。