1移植後の経過年数別に気をつけること
1. 移植後2週間
移植後2週間

ご自宅に帰った場合、病院から指定されたお薬(特に免疫抑制剤)をしっかり内服することを心がけましょう。
この時期は免疫抑制剤の投与量がしばしば変わることがあります。投与量を間違わずに決められた時間にきちんと服用するように気を付けましょう。
また、水分の摂取も十分に行います。体格や個々の患者さんの状態で異なりますが、初期の段階ではだいたい2000~2500mlぐらいの飲水を勧めています。
自宅療養しながら、外出が必要な際は基本的に人ごみを避けるようにし、できるだけマスクを装着して、手洗い、うがいを励行するようにして下さい。
移植後1ヵ月

少しずつ免疫抑制剤の投与量が安定してくるころですが、まだ外来受診のたびに投与量が変わってくることがあります。お薬の変更などの際は確実に指示を守るようにしましょう。
少しずつ外出する機会が増えてきますので、帰宅の際には手洗い、うがいを励行して下さい。
移植をするとこれまで以上に食欲がわいてきますが、食べ過ぎはよくありません。アルコールも節酒して下さい。定期的に体重計に乗ってきちんと体重管理をしていきましょう。
同様に血圧も定期的に自宅で測定して、血圧が高いような場合は主治医に申し出てください。
移植後3ヵ月

拒絶反応やウイルス感染症などがなければ腎機能、免疫抑制剤の投与量が安定してきます。
水分も1500ml~2000mlぐらいの摂取量に落ち着いてきます。夏場、汗をかく場合は普段より多めに水分を摂取することを心がけましょう。この頃から新鮮なお刺身などは食べてよいようになります。
また運動に関しては軽いものであれば開始できるようになります。ただ、極度な低リン血症や骨粗鬆症の方は急に運動を始めることで骨折などを起こす可能性もあります。運動を始める前に必ず主治医に相談して下さい。
移植後1年

通常、腎生検が行われ、移植腎の組織学的な状態がわかります。拒絶反応がなければ一安心ですが、以後も免疫抑制剤の内服はきちんと行っていくことが重要です。
また、移植後から血圧、体重管理を行っていますが、これらのこともきちんと行っていくことが大切です。またこれ以後、40歳代以上の移植患者さんは年に1回の人間ドックを受診されることをお勧めします。
移植後3年

かなり日常生活も安定した時期にきていますが、ここでも改めて血圧や体重管理などの生活習慣を見直し、年に1回の人間ドックや健診を行い、更なる長期生着をめざしてください。
移植後10年
腎機能が安定しており、他疾患の合併もない状態であれば、これまでの管理がしっかりしていたということになります。そのままの状態を継続するようにしてください。
移植後より血清クレアチニン値が上昇している場合も、食生活、生活習慣をきちんとすることで上昇のスピードを抑えることができます。一つ一つきちんとやっていく積み重ねが大切です。
提供:腎泌尿器疾患研究所