10その他Q&A

1. その他Q&A

移植した腎臓は何年くらいもちますか?

移植された腎臓の状況、また移植を受けた患者さんの状況などがさまざまであり正確な数字を算出することは困難です。
ただ、2023年に日本移植学会が出した統計では、移植腎の生着率(移植腎が機能して透析せずにいられる率)は、2010~2020年においては、生体腎移植で1年生着率が98.7%、5年生着率が93.1%、献腎移植で1年生着率が95.9%、5年生着率が87.8%となっています。

移植した腎臓は、どうしてだめになるのですか?

大きく分けて2つの原因があげられます。
1つ目は慢性拒絶反応です。慢性拒絶反応はさらに、移植後早期に起きた急性拒絶反応が抑えきれずに残ってしまっているタイプ、および、移植手術後数年経過した時点で移植した腎臓に対して免疫反応を起こしてしまっているタイプ、などがあります。最近になって、特に後者のタイプには患者さんの服薬が不十分で免疫抑制薬の血中濃度が低くなり、拒絶を起こしている場合が少なくないことが判明しています。
2つ目は、再発性の腎炎や自己免疫疾患による移植腎機能低下があげられます。特にIgA腎症、FSGS、MPGNなどの腎炎やSLEなどは再発をきたしやすいことから注意が必要ですが、最近の治療の進歩によりかなり改善しつつあります。
その他にも、移植腎喪失の原因として、生活習慣病、感染症(尿路系)などがあります。また移植腎機能が良好なまま亡くなられる患者さんもいらっしゃいます。
死亡原因には心臓脳血管障害、悪性腫瘍、糖尿病の悪化などがあります。危険因子である、血圧、脂質異常症、肥満などの管理はとても重要です。

腎臓病が再発したときにはどうしたらいいですか?

外来にて腎炎の再発を疑うときはほとんどが蛋白尿や血尿が出てくるときです。最終的に確定診断をつけるには移植腎生検が必要になります。最も再発しやすい腎炎としてあげられるのはIgA腎症と巣状糸球体硬化症があります。
IgA腎症は扁桃腺摘出による改善例が報告されており、再発した際には扁桃腺摘出やステロイドパルス治療などが施されます。
巣状糸球体硬化症が再発した時には、まず血漿交換治療を行います。リツキシマブというリンパ腫の治療に使用する抗がん剤も有効性が多数報告されています。
いずれにして腎生検でしっかりした確定診断を付け、腎臓内科の先生の意見も聞きながら治療を進めていくことが重要です。

移植した腎臓がだめになったら再移植は可能ですか?

可能です。
2回移植までは両側の骨盤腔が空いていますが、3回目になると移植腎をおさめる骨盤腔が空いていないため、移植された過去の腎臓をはずしてから新たな腎臓を同部位に移植することになります。 このような理由により複数回移植は数を重ねることに外科手技的な難易度は増してきますが、熟練した外科医であれば大きな問題とはなりません。
外科的要因以外で複数回の腎移植の際に問題となるのは、ドナーに対して抗HLA抗体を持つことです。これは過去に受けた腎移植のために抗HLA抗体を産生し、新たな移植腎に拒絶反応を起こしやすくしてしまいます。しかし、現在は抗HLA抗体を除去したり、産生を抑制したりする方法が確立されていますので、腎移植は安全に施行可能となり、さらにその成績も非常に良好です。

腎移植前から漢方薬やサプリメントを飲んでいますが、移植後も継続して大丈夫でしょうか?

漢方薬やサプリメントを使ってみたい場合には主治医や薬剤師に相談してください。
特に免疫抑制薬、降圧薬、抗凝固薬を内服している腎移植患者さんは薬との相互作用が問題となります。たとえば、グレープフルーツは免疫抑制薬のみならず降圧薬や脂質異常に使用する薬剤の血中濃度を高める、セイヨウオトギリソウは免疫抑制薬の効果を弱める、ビタミンK含有のサプリメントは心筋梗塞などで用いるワルファリンの効果を悪くする、などはよく知られています。

監修:湘南鎌倉総合病院 腎移植・ロボット手術センター長 泌尿器科 統括部長 田邉一成先生(情報更新:2024年3月)

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