腎移植は少量の免疫抑制薬の継続的服用のみで、健常者と同様な生活が送れる理想的な腎不全の治療です。腎移植を受けると透析と比べさまざまな制約が軽減されます。今回はその1つであるスポーツを取り上げたいと思います。
透析中にスポーツができないというわけではありません。ただ水分管理は困難ですし、血液透析の場合、シャントからの出血があれば命に関わる大出血につながります。透析を受けながら激しいスポーツを行うのは困難です。
腎移植を受けてプロスポーツの選手として活躍した、また活躍中の選手を紹介するシリーズ、第5回目の今回は、ロンドンオリンピックの110メートルハードルの金メダリストであり、同種目の世界記録保持者でもあるアリエス・メリット選手です。

5.アリエス・メリット(Aries Merritt)

アリエス・メリットはアメリカのハードル走の選手です。2012年8月のロンドンオリンピックの110メートルハードルの金メダリストで、ロンドンオリンピック後の2012年9月7日 ベルギーで出した12秒80の記録は2019年7月現在、破られていません(世界記録保持者)。

彼はベストシーズンだった2012年の翌年、2013年8月のモスクワの世界陸上の前から体調不良を感じていたようです。モスクワ世界陸上後、疲労感、腹部症状、嘔吐、浮腫が出てきたため受診し、巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)という腎臓病と診断されました。彼は、「もう二度と走ることはできない、普通に食事をすることもできなくなるだろう」と言われ、大変失望したようです。奇跡的に腎機能は一時的に改善したものの、2015年には末期腎不全状態となりました。

そして2015年9月1日、彼が30歳のときに7歳年上の姉ラトーヤさんをドナーとした先行的生体腎移植を受けました。術後の経過は良好で、腎移植の8週間後にトレーニングを再開しましたが、移植腎周囲に血腫ができ、再び手術を受けました。その後、2015年12月19日に練習を再開し、1カ月半後、インドアレースに出場。その時点で世界3位となりました。手術から10カ月後、リオオリンピック代表選考会では惜しくも3位に0秒01差の4位で、五輪連覇の道は閉ざされました。
しかし彼は諦めず、2017年に再びロンドンの世界陸上決勝の舞台に立ちました。この時の結果は5位でした。 2019年6月現在、彼は競技を続け、多くの人に勇気と感動を与えています。


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アリエスメリット2

手術を受けたメイヨ―クリニック(アリゾナ分院)のホームページより
手をつないでいるのはドナーである姉のラトーヤ


アリエス・メリットの腎移植ストーリー(動画には音声が含まれています。再生の際にはご注意ください。)




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