腎移植は少量の免疫抑制薬の継続的服用のみで、健常者と同様な生活が送れる理想的な腎不全の治療です。腎移植を受けると透析と比べさまざまな制約が軽減されます。今回はその1つであるスポーツを取り上げたいと思います。
透析中にスポーツができないというわけではありません。ただ水分管理は困難ですし、血液透析の場合、シャントからの出血があれば命に関わる大出血につながります。透析を受けながら激しいスポーツを行うのは困難です。
今回からシリーズで、腎移植を受けてプロスポーツの選手として活躍した、また活躍中の選手を紹介したいと思います。第1回目の今回は、NBAのショーン・エリオット選手です。
1.ショーン・エリオット
アリゾナ大とNBA(アメリカプロバスケットボール)のサンアントニオ・スパーズの黄金時代を作った名選手です。両チームで背番号32は永久欠番となっています。私の印象はとにかく頭のいいスマートな選手でした。
私も大学時代にバスケットボールをしていたので、若き日にあこがれた選手の一人でした。
彼は1989年にアリゾナ大学からNBAのドラフトで一巡目にサンアントニオ・スパーズに指名され、活躍しました。1992-1993シーズンには平均17.2得点、4.6リバウンド、3.8アシスト、1.0スティールを記録し、オールスターに初選出されています。1995-1996シーズンにはキャリアハイ(彼個人のNBAでの最高記録)の平均20.0得点を記録し、2回目のオールスターに選出されました。
1999年にはスパーズの一員としてNBAファイナル優勝を経験しましたが、その後に、腎臓病(巣状糸球体硬化症)にかかっていることを公表し、兄をドナーとした生体腎移植を受けました。
2000年チームに復帰し、NBA史上初めて、腎移植後に復帰した選手になりました。2001年に引退し、2013年現在 バスケットボール解説者をしています。通算成績は、1試合当たり14.2得点、4.3リバウンド、2.6アシストと素晴らしい記録です。1992年12月18日の対ダラス・マーベリックス戦で、1試合41得点の驚異的な個人記録を出しています。
尚、奥さんは日系人で、シーズンオフに奥さんのルーツである四国を訪れるなど、日本のファンにも馴染み深い存在です。
次回も、NBAの大スターだった選手をご紹介します。お楽しみに。
【患者様のご紹介・お問い合わせ】
荒木元朗 (腎移植チーフ)
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岡山大学病院看護部では4名の移植コーディネーターを配置しております。
移植コーディネーターとは、移植を受けられる患者さまと移植チームの橋渡しをする、移植医療の調整役です。腎移植に関する素朴な疑問や質問など、お気軽にお問い合わせください。いきなり医師に話を聞くのは気が引けるといった方の相談にも応じています。