聖マリアンナ医科大学病院レシピエントインタビュー第1回目は、約5年前にお母様がドナーとなり生体移植手術を受けられた、清水亜衣子さんです。
血液透析導入されるまでのお話や、移植後、2人のお子さんに恵まれ、幸せな毎日を過ごしていらっしゃる現在の様子などをお聞きすることができました。

清水さんが移植を受けるまでの経緯

  • 2005年(23歳) 風邪を引き、採血した際に腎機能が悪いことを指摘される
  • 2005年(23歳)~ 聖マリアンナ医科大学病院に通院
  • 2008年9月(26歳) 血液透析導入
  • 2009年1月(26歳) 生体腎移植手術

母の愛情

病状が出始める前の生活について教えてください。

清水さん
自分は健康だと思っていましたので、普通の生活をしていました。ただ、父が透析をしており、父方の祖父も腎不全だったので、小さいころから食事だけは気を付けて、薄味にしていました。兄弟が3人いるのですが、誰も腎不全の症状は出ていませんでした。
23歳の時に風邪を引き、久しぶりに採血をしたところ、腎機能が少し悪いと言われました。それまでは学校の検査でも全く引っかかっていませんでしたので、突然悪くなったのだと思います。その時から血液透析導入までの3年間は、通院をして薬を飲むだけの治療をしていました。
そして、26歳の時に血液透析になりました。透析は仕事が終わってから週3回、夜間に行っていました。

移植の話はいつごろからあったのでしょうか。

清水さん
保存期治療をしていた時から話はありました。妊娠・出産を考えていたので、「このまま腎機能が悪くなっていくと妊娠・出産も難しくなる」という話と合わせて移植の話もされました。当時は、移植という言葉はテレビなどで聞くことはあっても、私にはかけ離れた世界だと思っていました。
母は、身近に移植をした方がいて、その方から、当時すでに25年も透析を続けていた父に、「腎臓をあげたら?」という話をされことがあり、腎移植については知っていたようです。ただ、その時は移植について深くは考えなかったそうですが。

移植手術を受けようと思ったきっかけはどのようなことだったのでしょうか。

清水さん

清水さん
やはり子どもが欲しいという気持ちがあったことです。女性として生まれたからには、結婚願望があるのはもちろん、当時お付き合いしていた人(今の主人)との子どもが欲しかったですね。

移植手術を受けるに際し、お母様とはどのようなお話をされましたか。

清水さん
内科の先生から、「移植について詳しく聞くのであれば泌尿器科に行くといいよ」と勧められて、腎泌尿器外科の佐々木先生のところに伺ったのですが、その時たまたま母も青森からこちらに出てきていたので一緒に話を聞きました。話を聞いた母がすぐに、「(私の腎臓が)もし合えばあげるよ」と言ってくれました。母の方が肝が据わっているというか、「大丈夫だから」「私の腎臓は絶対合うから」と、それしか言わなかったですね。

力石先生、移植に関して内科と泌尿器科は普段から連携していらっしゃるのですか。

力石先生
腎臓・高血圧内科と泌尿器科(腎泌尿器外科)で外来を一緒にやっていますし、カンファレンスも行っています。内科では透析導入になった患者さんに、必ず腎移植の説明もしてくれています。