母、家族への感謝

この場でお母様に伝えたいことはありますか。

清水さん
言葉で簡単に「ありがとう」とは言えないですね。やはり生涯をかけてこの腎臓を良好に保ち続けるのが私の役割だと思います。透析に戻らないように生活をするのが、一番の感謝のしるしなのではないかと思っています。

お母様(ドナー)と2人のお子さんと一緒に

ご結婚はいつごろされたのですか。

清水さん
手術後の2011年です。手術当時は、今の主人と付き合ってはいたのですが、まだ結婚はしていなかったので、彼は家族ではないという理由で手術の話にも立ち会えず、一人部屋の外に出されていて、寂しい思いをしていたみたいです。結婚した今は、子どもや私の話をするとなると、主人が家族として話をすることになるので、「結婚っていいよね」と感じているみたいです(笑)。
最初主人は、腎不全や透析について分かっていなかったのですが、私の腎臓が悪くなった時点で、自分なりにすごく勉強してくれたみたいです。私がマイナス志向というか考えこむタイプで、彼もどのように声をかけていいかわからない時期もあったようですが、彼がいつも前向きでしたので、私はそこに救われたと思っています。一緒に落ち込まず前向きに意見を言ってくれるので、すぐにプラスの方向に気持ちを持っていくことができました。

最愛の家族と一緒に

移植後、新たに始めたことや、今後の夢はありますか。

清水さん
移植前は、疲れないように座り仕事の事務をしていましたが、移植後は、やりたかったアパレルの仕事へ就きました。力仕事だったり、業務時間が長かったり、セールも忙しくいろいろと大変なこともありますが、やりがいもあります。
今後は子どももいますので、育児をしながら資格を取って、仕事と育児を両立したいと思います。年齢を重ねても長く続けられるような仕事をしたいですね。

移植後、お子さんを持ったこと以外に変化はありましたか。

清水さん
透析をしていたころはやはり、時間や仕事が限られたり、遠出が難しかったりと、自分のやりたいことをかなり制限して生活していたので、移植後、あまり気にせず自分のやりたいようにできることがとてうれしいですね。

メッセージ

将来お子さんが欲しいと思っている女性の患者さんに向けて、メッセージをお願いします。

清水さん
私が移植から出産まで経験して思ったことは、移植して本当に良かったということです。健康な方より気を付けなければならない点は多いですが、自分次第で何事も変わっていくと思います。色々なリスクもあり、それなりの覚悟も必要ですし、全員がうまくいくと言い切れるわけではないので、軽々しくは言えないのですが、移植をして出産できるチャンスがあるのであれば、チャレンジしてもいいのではないかと思います。もし今悩んでいる方がいれば、ご家族と相談して、ご自分で納得するベストな選択をしてほしいです。後悔だけは絶対してほしくありません。

力石先生からもメッセージをお願いします。

力石先生
出産を希望されるのであれば、透析よりも腎移植の方が可能性ははるかに高くなります。透析でも可能性が無いわけではありませんが、とても大変ですので、もし腎移植の機会が得られるのであれば、ぜひ挑戦していただきたいと思います。