熊本赤十字病院における腎移植推進活動
尾山さんのように、透析導入の時点で腎移植という選択肢があるということを知らない方は現在も多いと思うのですが、腎移植を知ってもらうためにはどのような活動が必要だと思われますか。
上木原先生:
私たちのように、腎移植を知っている内科医であれば、療法選択の際に、医学的に難しい場合以外は、必ず腎移植の説明をしますが、尾山さんのケースのように、情報を得る機会がない方もいらっしゃいます。これまでも講演会などを通じて、透析医や腎臓内科医に移植医療についての情報を発信してきていますが、今後もまだそのような活動が必要だと感じています。一方で、現在連携が取れている病院の腎臓内科からは、コンスタントに患者さんをご紹介いただけるようになっています。
豊田先生:
当院の移植の半分近くは透析未導入の患者さんで、基本的には腎臓内科の先生方からの紹介です。
現在熊本赤十字病院の腎移植が増えている要因は何でしょうか。
豊田先生:
当院における腎移植の歴史は1988年から始まりましたが、移植数の多い少ないはあっても、途切れることが無かったということは大きいです。ゼロから始めるのはとても労力がいることですので。
そして、私を含め数名の移植チームのメンバーが国内のハイボリュームセンターに留学し、最新の移植の情報を得て帰って来た後、院内の移植体制を整えたことが、大きな要因だと思います。
上木原先生:
最新の情報にアップデートし続けることは、やっているつもりでもなかなか難しいのです。そのため、数名の医師に、順番に国内のハイボリュームセンターに留学してもらいました。約1年でとんでもなく経験値が上がって帰ってくるので、今後も常にそのような機会を作っていきたいですね。
腎臓内科からの患者さんの紹介が増えている要因はどのようなところにありますか。
豊田先生:
上木原先生が透析施設協議会の会長をされていた時に、県の透析施設や腎臓内科を巻き込んで、定期的に移植関連の講演会などを行ったことにより、少しずつ紹介が増えていきました。また、紹介頂いた患者さんの状況を、紹介元の先生に報告するようにして、コンタクトを取り続けるようにしています。