多くの人への感謝

ドナーへの想いを教えてください。

成田さん:
術後3日目のクリスマスイブの妻に贈ったメッセージ、「自由をくれてありがとう 命をくれてありがとう 最高で究極のクリスマスプレゼント 本当にありがとう」この言葉、そしてこの時の感謝の気持ちを、いつまでも忘れないでいたいと思います。ドナー検診はもちろん、毎年必ず人間ドックを受け、ドナーとしていつまでも健康を保ってもらいたいと思っています。

担当医への想いを教えてください。

成田さん:
手術前に、考えられる全ての疑問に答えて頂きました。そして、十分に納得した上で、全てをお任せする気持ちになりました。今もその気持ちは変わりません。感謝の気持ちで一杯です。移植医療とは、一生のお付き合いだと思っています。

普通が一番幸せ

移植をしてから一番良かった事は何ですか?

成田さん:
普通の生活が出来るようになったことが一番良かったと、つくづく思います。健康に過ごし、食事を自由に摂ることが出来、透析からの離脱で、自由に時間を使えるようになりました。もう無理だと思った海外への旅行も、毎年のように出掛けられるようになり、健康と自由を実感しています。

移植後初めての海外旅行はどこに行かれたのですか?

成田さん:
移植前までは、海外旅行や船の旅行は二度と出来ないと思っていましたが、移植後、先生に伺ったところ、衛生面に問題ないところであれば行っても大丈夫とのお話でしたので、移植の翌年の8月にハワイに行きました。
まさか移植して半年ちょっとで海外旅行に行けると思っていなかったので、本当に嬉しかったです。 移植後、毎年アメリカに出掛け、特にアラスカは移植後3回出掛けました。

移植後の旅行

これから移植を受ける方へ

今、熱中していることや、将来の夢はありますか。

成田さん:
移植前までは、透析を受けたりする為にも、定年退職までは何とか働かなければと思っていました。移植をして元気になり、定年まで働いて、その後のんびりしようかとも思っておりましたが、せっかく元気になったのだから生活設計を変えて、60歳からも普通に働けるような仕事があればと思っていた時に、大学の教員の話があり、受ける事にしました。
そして現在、大学の教員として、教職を目指す学生達を応援しています。30年間の教職生活を生かして、学生達と接することが出来て、充実感を得ています。健康で自由で、充実感のあるこの状態を、いつまでも続けることが、現在の夢になっています。
大学にも週5日は行っておりますが、大学の教員の他にも、NPO法人日本移植未来プロジェクトの副理事長として運営に関わり、また、株式会社eFarm.jp(生産者の顔が見える産直市場)の取締役副社長として事業運営に関わる等、多方面で忙しい毎日を送っています。

講演をされる成田さん

現在透析している方や、慢性腎不全の方へのメッセージをお願いします。

成田さん:
移植に関しての情報は、年々増えてきていますが、まだまだ情報が得にくい状況かと思います。 受け身ではなく、正しい情報を自分から得る努力をする事が非常に大事だと思います。今の生活をより良く改善するために、人を頼りにするのではなく、是非自分から求めていってください。
また、自分自身が任せられる、納得出来ると思う先生、医療機関を見つけ、信頼出来る先生の言う事はきちんと聞くという事が非常に大事だと思います。

今後の移植医療に期待する事はありますか。

成田さん:
腎毒性や感染症などの副作用が少ない免疫抑制剤の更なる開発や、免疫寛容に繋がる移植医療の発展を望みたいです。移植患者にとってもドナーにとっても、長期生着が一番の願いです。長期生着が当たり前の移植医療になることを期待したいと思います。また、出来ることなら、生体移植ドナーに頼ることのない移植医療が実現できたら、素晴らしいなと思います。