市立札幌病院 レシピエントインタビュー第3回目は、約8年半前にお母様がドナーとなり生体腎移植手術を受けられた、今野恵美さんです。
今野さんは移植後6年後にかわいいお子さんも出産されました。イギリス旅行中の突然の透析導入から、移植後の出産、子育てのお話などをお聞きすることが出来ました。
今野さんが移植を受けるまでの経緯
- 2003年5月 旅行先のイギリスで体調が悪くなり入院
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2003年5月 血液透析導入
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2003年11月 生体腎移植手術
イギリスでの突然の透析導入
透析導入する前の生活について教えてください。
今野さん:
2003年の5月に旅行先のイギリスで体調が悪くなり、そのまま現地で入院、透析を開始するまでは、腎臓が悪いという事を知りませんでしたので、普通の生活をしていました。
透析導入以前は腎不全の症状は出ていなかったのでしょうか?
今野さん:
思い返せば、2002年の冬頃に生理が止まり、動悸、息切れ、貧血のような症状があり、階段を上るのも苦しい状態でした。
また、足の甲が腫れるなどの症状が出たこともありました。その際受診した整形外科では、「若い女性に痛風の症状が出るのはおかしいので、もし再度足が浮腫む症状が出たら、専門医を紹介しますので、病院にきてください」とは言われていました。ただ、当時は立ち仕事をしていたので、足が浮腫むのはいつもの事でしたので、特に気にはしていませんでした。その際に受けた尿検査では、少し蛋白が多いとは言われていました。
イギリスに行く前も、いつも気を失うように寝ていました。近い距離でも車で移動していましたし、車を運転している時にも意識を失いかけたこともありました。振り返ればその時すでに相当腎臓が悪くなっていたのだと思いますが、まさかそのような状態になっているとは思いませんでしたので、「居眠りをしてしまったのだろう」とか、「とても疲れているのだろう」と思っていました。私の家族も、もちろん私が病気だとは思っていませんでしたので、私が車でばかり移動することや、寝てばかりいることに対して、「怠けているだけでしょう?」と言っていました。
ご旅行先のイギリスで体調が悪くなられたとの事ですが、どのような状況だったのでしょうか?
今野さん:
妹がイギリスに住んでいましたので、妹の子供の世話も兼ねて遊びに行きました。イギリスに着いた次の日から具合が悪くなり、観光に行っても公園で寝てしまうような状態でした。そして、日に日に歩けなくなり、1メートルも歩けない状態となってしまったため、現地の病院にかかったところ、「すぐに大きい病院に行きなさい」と言われ、別の病院に入院し、透析をする事になりました。
その病院は妹さんも知っている病院だったのですか?
今野さん:
いいえ、妹もよく知らない病院でした。
すべてが良く分からない状況のまま、進んでいってしまいました。英語もよく分かりませんでしたので、妹がイギリスでの出産時に使った、簡単な「痛い」などの単語が書かれた紙をもらい、それを指してお医者さんや看護師さんと意思疎通をはかっていました。