千葉東病院レシピエントインタビュー第1回目は、約1年前にご主人がドナーとなり、生体腎移植手術を受けられた田中美枝さん(仮名)です。
18年半に及ぶ透析治療を経て生体腎移植手術を受けられるまでのお話や、移植後、二人のお孫さんのお世話などで忙しく過ごしていらっしゃる現在の様子など、様々なお話をお聞きすることが出来ました。
田中さんが移植を受けるまでの経緯
- 1982年5月(28歳) 感冒様症状と血尿が出る
- 1983年2月(29歳) 腎生検 IgA腎症と診断される
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1994年6月(40歳) 血液透析導入
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2013年1月(59歳) 生体腎移植手術
移植医療との出会い
病状が出始める前はどのような生活でしたか。
田中さん:
健康的な生活を送っていましたが、子供が産まれてからは、慣れない子育てや地域の役員の仕事で忙しく、また主人が三交代制で働いていたこともあり、睡眠不足の状態が続いていました。
保存期治療はいつ頃から始められたのですか。
田中さん:
1983年に腎生検でIgA腎症と確定診断されてから、保存期治療を開始しました。透析導入前の最後の3年位は本当に辛かったです。特に蛋白制限が厳しかったですね。
ご主人(ドナー):
あの頃、妻はでんぷん米を取り寄せて食べていたので、味見をしてみたら、「これはとてもではないが食べられない」。きつい治療なのだろうなと思いました。
移植に関しての情報や知識は、いつ、どの様にして知ったのでしょうか。
田中さん:
移植に関しては、私が透析導入後、程なく生体腎移植を受けた友人がいましたので、知っていました。その後、その友人から移植を勧められていました。また、主人と一緒に移植の講演会にも参加しました。
ご主人は、以前から移植についてご存知だったのでしょうか。
ご主人(ドナー):
そういうものがある、という程度のことしか知りませんでしたが、講演会等で少しずつ勉強していきました。
移植経験者にも薦められ、移植についてもご存知だったのに、透析導入後10年以上、移植については考えなかったのですか。
田中さん:
主人からは「移植をしよう」という話はあったのですが、私はその時は考えられなかったですね。透析がとてもうまくいっていたので、人を傷つけてまで移植をしようとは考えませんでした。また、「移植をしよう」という話が出ていた時に、主人に大腸癌が見つかったこともあり、移植を考える状況でもありませんでした。