妻への感謝

移植手術を受けるに際し、奥様とはどのようなお話しをされましたか。

岩松さん
妻と一緒に検査を受け、移植ができることが分かると、妻の方から、「移植ができるようになって良かった」と言ってくれました。申し訳ないと思いましたが、心から感謝し、移植することを決意しました。それ以降は、特に話はしていません。

移植手術が決まってから、実際の手術までの期間はどのくらいでしたか。またその期間の生活で気を付けていたことがあれば教えてください。

岩松さん
2013年の7月に手術が決まり、同年の9月11日に手術をしましたので、手術までの期間は約2カ月でした。私は手術の約2週間前に入院して透析や血漿交換などを行いました。妻は手術の6日前に入院しました。

先生、こちらの病院では、生体腎移植を希望されてから、実際の手術までの期間はだいたいどのくらいですか。また、一般的な入院のスケジュールを教えてください。

渋谷先生

渋谷先生
現在当院では、移植が決まってから、実際の移植手術までは2〜3カ月くらいです。術前の検査は全て外来で行っています。手術の際の入院に関しては、血液型不適合移植の場合は、2週間前に入院していただき、移植後約3週間で退院となります。血液型が適合している場合は、1週間前の入院です。ドナーの方は5日前くらいから入院していただいています。

そして岩松さんご夫婦は無事に移植手術を終えられたわけですが、移植手術を終えた時の心境を教えてください。

岩松さん
まずは、「ドナーである妻は無事だろうか」と心配でした。集中治療室には、渋谷先生のほか、手術に立ち会ってくださった先生方や看護師さんたちが、入れ替わり立ち代わりで様子を見に来ていただき、「ああ、手術は終わったのだな、成功したのだな」と、とてもありがたく思いました。そして、その後、妻も無事だと聞き、とても安心しました。

手術後の経過はどうでしたか。

岩松さん
術後10カ月たちましたが、経過は順調です。現在は、1カ月に1回通院し、血液検査や診察などをしていただいて、免疫抑制剤を調節していただき、飲み忘れの無いようにしています。

徹底した自己管理

移植後、奥様に対しては何か特別にイベントなどは行っていますか。また、今後奥様に対して何かしたいと思っていることはありますか。

岩松さん
移植後には、四国内の観光と温泉に2回行きました。今後は、妻が、四国八十八箇所霊場巡りも行きたいと言っていますので、運動を兼ねて一緒にお礼参りに行きたいと思っています。


移植後、奥様と


奥様
私は今までも近くの霊場を時々まわっていて、いろいろとお願いをさせていただいたので、今度はお礼参りに行きたいと思っています。

移植をしてから一番良かったこと、うれしかったことはどのようなことですか。

岩松さん
血液透析から解放されたことですね。週2回の透析でしたが、透析は私にとっては苦痛で、いつも疲れていました。太い針を刺して、痛い思いをしながら、長時間拘束されていたことを思うと、今はそれが無くなり、本当にうれしく思っています。

移植後の日常生活では、移植腎のために特にどのようなことに気を付けて生活をしていますか。

岩松さん
腎臓内科へ通院していた際には、塩分、タンパク質やカリウムなどの厳しい制限がありましたが、移植後の現在はそのような制限はありません。ただ、以前の名残がありますので、栄養士の先生から教わった食事療法を思い出しながら、食事は減塩で、腹八分目の量にするようにし、グレープフルーツなどの移植者が避けるべき食べ物は食べないようにしています。また、抗凝固剤を飲んでいるので、納豆も食べません。先生は、「生ものでも、新鮮なものであれば食べて構いませんよ」とおっしゃってくださるので、生ものは慎重に食べるようにしています。移植後の体の管理を、長期的視点で気を付けるようにしています。


渋谷先生
一応、生ものは、術後3カ月以降は、新鮮なものであれば食べてもいいということにしています。移植後、「新鮮な刺身などを食べたい」と思う方も多いと思います。

高知県でしたら、なおさら食べたいですよね(笑)。

岩松さん
お寿司は、目の前で握ってくれるようなところには行きますが(笑)、調理後、長時間置いてあるようなお店には行かないようにしています。

日常の服薬や、血圧・体重等の記録はどのような方法で行っていますか。

岩松さん
服薬は、間違えないように、薬局で朝と夕食後の分を、それぞれ一包化してもらっています。それを、娘が買ってくれた、横に朝・昼・晩・寝る前の4列、縦に月曜から日曜まで7列、計28個の升目がある薬箱に入れて管理しています。血圧・体重は毎朝毎晩測定しています。また、飲水量・尿量も毎日計って記録をしています。


自己管理


渋谷先生
岩松さんは、徹底した自己管理をされていて、その記録も含めて本当に素晴らしいですね。


岩松さん
入院中にしていたことを、退院後も継続しているだけなのです(笑)。