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レシピエントインタビュー

虎の門病院分院 レシピエントインタビュー Vol.1

桜井光司さん(仮名) × 虎の門病院分院 丸井祐二先生

夢に向かって

移植後の日常生活では、移植腎のために特にどのようなことに気を付けて生活をしていますか。

桜井さん
水をたくさんとること、栄養のバランスに気を付けること、移植したということを気にしすぎないこと、疲れたら無理をせず少し寝ること、くらいですね。

日常の服薬や、血圧、体重等の記録はどのような方法で行っていますか。

桜井さん
薬は、あらかじめ朝・夜分でまとめておいて、飲むときに楽な状態にしておきます。100円ショップで売っている、小分け可能なケースを使用しています。
血圧は2日に1 度くらいのペースで測ります。体重は、ラグビーチームの体重計があるので、選手と一緒に量っています。 データは携帯のアプリに入力しています。


日々の管理


移植後、新たに始めたことはありますか。

桜井さん
新しい仕事を始めました。リトミックという音楽を使った幼児教育です。0歳児から幼稚園に入るまでの子どもに、勉強も教えています。

その仕事に就いたきっかけは何ですか。

桜井さん
ラグビー関係の方に誘っていただいたのです。本当は以前勤務していた学校に戻ろうと思っていたのですが、当時はすぐには無理だったので、新たな仕事を始めました。今はその幼児教育を週3日、残りの週2日は学校で政治経済を教えています。午後は、ラグビーを教えています。毎日楽しいですね。

今後の夢はありますか。

桜井さん
ニュージーランドでラグビー文化を学んで、コーチ資格を取り、ニュージーランドにあるようなラグビーのクラブチーム文化を日本にもつくりたいですね。

ニュージーランドの資格じゃないと駄目なのですか。

桜井さん
はい、駄目です。ニュージーランドは、コーチ資格も世界一なのですよ。教える体系ができているし、文化も違います。いま日本のラグビーだと、中学生は土日だけしかやっていないのです。部活があればいいのですが。夕方からやれるようなクラブチーム文化を日本でつくりたいですね。


感謝とメッセージ

丸井先生にお伝えしたいことはありますか。

桜井さん
もちろん移植もそうですが、丸井先生に出会えたことも、私の人生においてターニングポイントであったと思います。先生の、常に前向きで使命感にあふれる姿勢は、定期検査でお会いするたびに「人生のやる気」をもらえます。感謝はし尽くせないです。

なるほど。先生から「人生のやる気」ももらっているのですね。そしてそれは、初めて握手した時から変わらないのですか。

桜井さん
変わらないですね。もちろん私の主治医なのですけれど、それ以上に人生の先輩というか師匠というか、そんな感じがしています。外来のときも、1割くらいしか病気や体のことは話さないのですよ(笑)。残りの9割ぐらいは、いろいろな話をしてもらっています。ラグビーの話ももちろんしますが、もっと深い人生の話をしてくれる。だからいつも、「もっと勉強しなきゃいけないな」って思いながら診察室を出るのです。「しっかり自分を管理しなきゃ」とかではなくて、「ああ、とにかくもっと勉強しよう」と思って診察室を出る感じなのです。これまでいろいろな先生にお会いしましたが、丸井先生は、全然違う存在ですよね。

ドナーへの思いを教えてください。

桜井さん
今の私の人生の喜びの一つ一つが、父、そして家族のおかげだと思っています。本当にもう、「ありがとう」しかないです。

現在、移植手術を控えている、または移植手術を検討しているレシピエントやドナーの方へメッセージをお願いします。

大切な家族と

桜井さん
移植は、ものすごく大事(おおごと)だと思っていたのですが、思っていたほどは大事ではなかったと感じています。結果的に父のおなかを切ることになってしまいましたけれど、一番良かったことは、その時に家族が一つになれたことです。
移植するまで、私と兄はそこまで仲が良くありませんでした。小さいときは喧嘩ばかりしていて、あまり喋らず、2人で遊びに行ったりもしませんでした。でもその兄が、私が病気になった時には、病院や治療法を一番調べてくれて、とても心強かったです。だからといって、今でもすごく遊んだりはしませんが、心のどこかではつながっているような気がします。それがとてもうれしいですね。
後は、いろいろなことがありますけれど、一つずつ乗り越えていけば、必ずその先があって、それは必ず成長につながっていると思います。

最後に、先生からもメッセージをお願いします。

二人で

丸井先生
私が移植医療を本格的に始めた時に、自分なりに冊子を作ったのです。その時に考えたモットーで、今も変わらずに思っているのは、「大切な人といつまでも」ということです。
残念ながら腎臓病を患ってしまった人は、その人の家族にとって、とても大切な人。だからその家族は、「いつまでも元気でいてもらいたい」と思う気持ちから、「腎臓を提供しよう」と考えると思うのです。そして、腎臓病を患った人にとっても、その提供してくれる人も他の家族も大切な人なので、その人たちにとって、自分がいつまでも元気でいることが大事だし、同時に、提供してくれた人がいつまでも元気でいてくれるということも大事なのです。
我々医療者にとっては、腎移植を受ける人も提供してくれる人も、ともに大切な人なので、そういった方々に「いつまでも元気でいていただきたい」「ずっと長く支援をしていきたい」というふうに思っています。「大切な人といつまでも」いられるにはどうしたらいいかを、みんなで協力して、楽しく考えて過ごしていけるようにしたいと思っています。

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レシピエントインタビュー【親子間】