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後藤 憲彦先生 コラム

腎移植後の外来ではさまざまな検査が行われます。腎移植後に検査値をみる上で知っておくべきことや、移植内科医がどのようなポイントをみているのかについて、名古屋第二赤十字病院の後藤憲彦先生にシリーズで解説していただきます。
第13回目は空腹時血糖についてです。


①空腹時血糖とは

空腹時血糖とは、10時間以上絶食した後に測定した血糖値です。一般的には前日21時以降絶食して、翌朝の食事前に採血します。糖尿病の診断には、空腹時血糖値と75g経口ブドウ糖負荷試験の2時間後の血糖値を用います。
糖尿病が疑われるのは、空腹時血糖値が126㎎/dL以上とされています。


②空腹時血糖の基準範囲(*1)

正常域:110㎎/dL未満
境界域:110~126㎎/dL未満
糖尿病域:126㎎/dL以上

糖尿病


③腎移植後に空腹時血糖をみる上でのポイント

中性脂肪と同じように、血糖も食事により大きく変化します。まずはきちんと空腹時採血をすることが大切です。食後の採血による血糖値からは、治療内容を決めることができません。
移植後に新たに糖尿病を発症すると、レシピエントの移植腎生着率や生存率は低下します。
そのため、糖尿病や境界型糖尿病を発症した時には、いかに早く対応するかがポイントとなります。
糖尿病は、空腹時血糖とともに、次の項で説明するHbA1cを追加して評価していきます。また、糖尿病予備軍である境界型糖尿病は、75g経口ブドウ糖負荷試験(75gOGTT)で評価していきます。しかし、毎回の受診のたびにこれらの検査をするわけにはいきません。きちんとした採血条件で、空腹時血糖が110mg/dLを何回も超えるようなことがあれば糖尿病を疑ってHbA1cを追加、100から109mg/dLであれば境界型糖尿病を疑って75gOGTTを追加します。
移植後は様々な要因で血糖が上昇します。主な要因は、肥満、移植前にすでに境界型糖尿病がある、免疫抑制薬の服用などです。
移植後は食事が美味しくなり、またステロイドにより食欲も増すので、体重を増やさないようにすることが大切です。
ステロイド、カルシニューリン阻害薬、エベロリムスは血糖を上昇させます。移植後3カ月は、これらの免疫抑制薬の濃度が高いので、血糖は高めに推移します。そのため、移植後に新たに糖尿病を発症したレシピエントに対しては、3カ月以降に免疫抑制薬が維持量へ減量になった後に、糖尿病の再評価をして、必要であれば内服治療を検討します。
次項のHbA1cで詳しく述べますが、移植前から糖尿病を合併しているレシピエントに関しては、膵臓の負担を軽くするために、移植直後からインスリンを使用するのが一般的です。
移植後3カ月以降でも、免疫抑制薬の濃度が必要以上に高い時は、内服量の減量により血糖は下がります。拒絶反応でステロイドパルス療法を行った後も、血糖は上昇します。


*1 日本糖尿病学会 編・著:糖尿病治療ガイド2016-2017




腎移植後の管理で重要な検査値解説 掲載予定内容

【1】クレアチニン(CRE)

【2】eGFR

【3】尿酸(UA)

【4】尿潜血

【5】尿蛋白

【6】尿沈渣

【7】白血球数(WBC)

【8】カリウム(K)

【9】カルシウム(Ca)、リン(P)、副甲状腺ホルモン(PTH)

【10】中性脂肪(TG)

【11】LDL‐コレステロール(LDL‐C)、HDL‐コレステロール(HDL‐C)

【12】ヘモグロビン(Hb)

【13】空腹時血糖

【14】HbA1c

【15】75g経口ブドウ糖負荷試験(75gOGTT)


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