「腎移植前後の患者さんが抱く基本的な疑問」について、KDIGO(Kidney Disease:Improving Global Outcome(国際腎臓病予後改善機構)) が作成した国際腎臓病ガイドラインの視点から名古屋第二赤十字病院の後藤憲彦先生にご解説頂く"患者さんの疑問”解決 シリーズ第2弾。
第5回目の今回は『免疫抑制剤の副作用にはどの様なものがあるのでしょうか?また、副作用がおきた場合はどうすればいいのでしょうか?』というご質問に対してご回答、ご解説頂きました。
【質問5】 免疫抑制剤の副作用にはどの様なものがあるのでしょうか?また、副作用がおきた場合はどうすればいいのでしょうか?
【回答・解説】
副作用が起きた時には、有益性(症状の軽減)と有害性(急性拒絶反応)を秤にかける必要がでてきます。
新規糖尿病については、ステロイド、タクロリムス、エベロリムスに可能性があります。ステロイド減量やタクロリムスからシクロスポリンへの変更も考慮します。血糖降下剤内服やインスリンを一時的に使用することもあります。
脂質異常については、ステロイド、シクロスポリン、エベロリムスに可能性があります。スタチン投与を考慮します。
高血圧については、ステロイド、シクロスポリンに可能性があります。シクロスポリンの濃度調整に加えて、降圧剤を開始します。
骨塩量低下については、ステロイドの減量を考慮します。ビタミンDやビスホスホネートにより移植後の骨折が低下するかはわかっていません。
骨髄抑制については、ミコフェノール酸モフェチル、アザチオプリンに可能性があります。濃度を測定して減量を考慮します。
下痢や悪心および嘔吐については、ミコフェノール酸モフェチル、タクロリムスに可能性があります。濃度を測定して減量を考慮します。
メディプレスの情報はあくまでも執筆時点での情報をもとにした専門医の一般的な意見です。それぞれの患者さんの状態や体調によって対応は大きく変わってきますのでご注意ください。ご自身の状況については、主治医や専門医の指示に従ってください。