「腎移植前後の患者さんが抱く基本的な疑問」について、KDIGO(Kidney Disease:Improving Global Outcome(国際腎臓病予後改善機構)) が作成した国際腎臓病ガイドラインの視点から名古屋第二赤十字病院の後藤憲彦先生にご解説頂く"患者さんの疑問”解決 シリーズ第2弾。
第8回目の今回は『移植後、いつ頃から妊娠してもよいのでしょうか?またその際、気を付けることはあるのでしょうか?(女性)』というご質問に対してご回答、ご解説頂きました。
【質問8】 移植後、いつ頃から妊娠してもよいのでしょうか?またその際、気を付けることはあるのでしょうか?(女性)
【回答・解説】
移植後の妊娠は必ず計画して行う必要があります。免疫抑制剤による児の催奇形性があるからです。
移植後1年経過して、移植腎機能良好で蛋白尿を認めなければ、妊娠をしてもらうことが可能となります。まず、ミコフェノール酸モフェチルを中止するかアザチオプリンへ変更、降圧剤はメチルドーパに変更します。ミコフェノール酸モフェチルは、影響がなくなるまでに内服中止から6週間かかります。また、ミコフェノール酸モフェチル中止やアザチオプリンへ変更後は移植腎機能をしばらく経過観察しなければいけません。メチルドーパ変更後の血圧安定も必要です。当院では妊娠可能から2ヵ月くらいで、免疫抑制剤変更後の腎機能と降圧剤変更後の血圧が問題ないのを確認して、妊娠許可を出します。当院では妊娠希望で腎移植を考えている腎不全患者さんに対して、専門外来を設けています。
メディプレスの情報はあくまでも執筆時点での情報をもとにした専門医の一般的な意見です。それぞれの患者さんの状態や体調によって対応は大きく変わってきますのでご注意ください。ご自身の状況については、主治医や専門医の指示に従ってください。