「腎移植前後の患者さんが抱く基本的な疑問」について、KDIGO(Kidney Disease:Improving Global Outcome(国際腎臓病予後改善機構)) が作成した国際腎臓病ガイドラインの視点から名古屋第二赤十字病院の後藤憲彦先生にご解説頂く"患者さんの疑問”解決 シリーズ第2弾。

第10回目の今回は『移植後は太りやすいのでしょうか?また、運動をする場合はどのような運動がいいのでしょうか?』というご質問に対してご回答、ご解説頂きました。

【質問10】 移植後は太りやすいのでしょうか?また、運動をする場合はどのような運動がいいのでしょうか?

【回答・解説】
移植後はステロイド内服による食欲増進や、腎不全食からの解放で摂取カロリーオーバーから体重増加しやすくなります。体重増加による肥満自体や、体重増加が引き起こす高血圧、耐糖能異常、脂質異常などは移植腎機能の低下につながります。食事管理と運動が大切になります。
移植後3ヵ月までは免疫抑制剤内服も多く、拒絶反応や感染症のリスクが高い時です。散歩などの軽い運動にとどめておいた方がいいと思います。関節や骨の負担を考えると水中歩行も効果的です。プールの水は感染のリスクが高いので、この時期には顔を水につけるのは避けた方が良いでしょう。
6ヵ月以降は通常の運動が可能となります。ステロイドによる骨塩量は、移植後6ヵ月から12ヵ月に急速に低下して、その後も数年にわたって緩やかに低下します。無理のない運動を心がけることが重要です。しかし、体重を落とすためには有酸素運動をしなくてはいけません。脈が少し早くなり、汗ばむ程度の早足歩きが有酸素運動です。いつもの散歩を少し工夫してみるのもいいかもしれません。

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