夢への第一歩
移植に関しての情報は、いつ、どの様にして知ったのですか?
松原さん:
正確には覚えていないのですが、当時私は体調も非常に悪かったので、恐らく私よりも先に親が話を聞いてきたのだと思います。入院していた病院の先生が「人工透析以外に、移植という方法もある」という話を親にしてくれたようです。
透析導入病院でその様に移植を勧められるという事はよくあるのですか?
原田先生:
そうですね。透析施設の中には患者さんに対して移植の話をしっかりとしてくれる施設もありますね。
松原さん:
私は子供が大好きで、仕事も保育士をしており、もちろん将来は子供を産みたいと思っていたのですが、透析導入した際「透析導入したら子供を産むことは不可能ではないが難しい」という話を聞き、かなりショックを受けていました。
落ち込んでいる私に、先生が「移植をしたら、子供も産めるみたいだよ」という話をしてくれたことは本当に嬉しかったです。
その後、実際に移植手術を受けるまではどの様にお話が進んでいったのですか?
松原さん:
移植の話を聞いた後、母が「すぐに移植をしよう」という話を私にしてくれましたが、私は母がどうなってしまうのかがとても心配で、躊躇していました。
しかし、母を含め家族からの強い希望があったことと、自分自身でも色々と調べ、移植手術が安全だと分かったこと、家族・自分の為にも健康だった頃の様な生活に戻りたいと思い、移植手術を受ける決心をしました。
母は泣きながら「お母さんの腎臓で元気になってくれるのであればそれでいいの」と言ってくれました。
原田先生:
松原さんのお母様は病院に移植の話を聞きに来られた際、既に移植手術に対して非常に積極的にお考えだったようで「私がドナーとなるので、早く娘に移植手術をしてあげてください」という様なお話をされていたことを覚えています。
松原さんの明るさと積極性は、お母様に非常に似ていらっしゃいますね。
一筋の光
移植担当医の先生と移植について初めて話したのはいつ頃だったのでしょうか?
松原さん:
先生と詳しくお話をしたのは、移植をする4ヶ月ほど前だったと思います。
腎移植についてのメリットとデメリットを詳しくお聞きしました。「移植をするとこんなにも沢山のメリットがあるのだ!」と感じたのを覚えています。
そのメリットとデメリットとは具体的にどのような事ですか?
松原さん:
メリットで一番大きかったのは、私にとっては『子供が産める可能性が出来ること』でした。
また透析は体力的にも辛く、毎回フラフラになっていましたし、ご飯も美味しくなく、食事を作るのも大変だったので、移植したら色々気を付けなければいけない事はあっても、皆と同じ食事を食べる事が出来、透析の拘束時間は無くなり、元の生活に戻る事が出来ると思いました。
デメリットとしては、薬を毎日必ず飲み続けなければならない、という事や、移植した腎臓も一生持つというわけではないという事をお聞きしましたが、私にとってはメリットの方が大きく、移植手術を受けられる事によって光が見えた気がしました。