移植手術への挑戦

移植手術を受けたいと思ったきっかけはありますか?

植木さん
テレビで生体腎移植をされた演歌歌手の松原のぶえさんが出演されているのを観て、移植後はあんなに元気になれるのだと感銘を受けたことがきっかけです。

ご主人がドナーになることを決めたきっかけは何だったのでしょうか?

ご主人

ご主人(ドナー)
妻がこれから、食事制限を行いながら週3日の透析を受けていく生活を送るのか、それとも、腎移植手術をして食事制限もほとんど気にする事なく生活をしていけるのか、その2つの選択肢を考えた時、迷わず腎移植を選択しました。

八木澤先生
従来であれば、まずは透析導入して落ち着いたら移植を選択するという方が多かったのですが、最近は植木さんのように、最初に移植を受けて、将来、万が一移植腎が機能しなくなったら透析を受けようと考える方が増えています。植木さん(ご主人)も最初からご自分が提供なさると決めていらっしゃいましたね。

ご主人(ドナー)
移植を決断できたのは、外来での八木澤先生のお話が、移植への安心感を与えてくださったというのも大きいです。自治医科大学病院の腎移植手術の実績数も、決断を揺るぎないものにしましたね。

植木さん
私も外来で八木澤先生のお話を伺ったときに、移植手術を受けても大丈夫だと感じました。

シャント手術を受けられた時には既に移植を受けようと思っていらっしゃったのですか?

植木さん
シャント手術は将来的な透析導入の準備の為に作った方がいいと言われて受けたのですが、その時点で既に移植を受けたいと思っていました。その後、結局透析はせずに移植をすることになりました。
主人は母子感染によるB型肝炎ウイルス保持者なのですが、先生が「ご主人もきちんと治療すればドナーになることは出来ます」と言ってくださったことも移植に進む上で非常に大きかったです。

移植手術に向けて

移植のお話はご主人が積極的に進めていかれたのですか?

ご主人(ドナー)
私は、まずは移植、将来的に駄目になったら透析、という順番で考えていましたので、あとは妻が移植手術を受けることを決断するかどうかだけでした。

植木さん

植木さん
最初は自分からは移植手術を受けたいとは言えませんでした。しかし、八木澤先生から、透析と腎移植の生存率のお話をお聞きし、主人と相談した上で移植に進もうという話になりました。

移植までの1年間はどの様な事に気を付けて生活をしていましたか?

植木さん
クレアチニン値が上がらないように、食事に気を付けて生活をしていました。腎臓に負担をかけないように肉や魚も少なめにしていたところ、主人からはもっと食べろと言われて、口げんかになりそうなこともありましたね(笑)。

ご主人(ドナー)
肉や魚を食べないと、痩せてしまって体力を失うじゃないか、と思っていましたね(笑)。

タイミング

ご主人(ドナー)
昨年の1月に手術の予約を入れられたので、妻は透析をしなくてよかったのですが、もし予約が一杯で手術がそれ以降にずれ込んでいたら、果たしてどうだったのか、と思いますね。

八木澤先生

八木澤先生
最近は透析導入する前に移植を受けたいと希望される患者さんが多くなっているのですが、移植手術の予定が1年先まで埋まっていますと、その1年の間に腎臓の働きが悪くなり透析を受けなければならなくなる患者もでてきます。出来る限り、透析前に移植が出来るように予定を組んでおりますが、難しい場合もありますね。

先生、透析導入前に移植をされる方は今どのくらいいらっしゃるのですか?

八木澤先生
日本全体では生体腎移植を受けられた方の2割近くが慢性透析を受けずに移植されています。当院でも、去年の腎移植件数27件のうち、4~5件が透析導入前の移植でした。