人生最上の喜び
移植手術当日の心境、そして手術を終えた時の気持ちはいかがでしたか?
奥様(ドナー):
病院と先生方を信じていましたので、手術台に上がる時も少しの不安もありませんでした。それまで手術など経験した事をもありませんでしたので「人生の中で大きな手術が経験できるだけでも良かったな」とまで思っていましたね(笑)。
手術が終わり、目が覚めた時には5分くらいしか経っていない気がしました。ほっとすると同時に主人の手術が成功することを祈りました。
瀧川さん:
私は妻とは正反対で、手術当日は不安で足も動かず声も出ませんでしたね(笑)。手術自体は痛みも感じず、「瀧川さん終わりましたよ」という呼びかけで目が覚めた時は、感動で涙が溢れました。息子たちも声をかけてくれ、無事に手術を終える事が出来て幸せな気持ちで一杯でした。
手術後、一番嬉しかったことはどんなことですか?
奥様(ドナー):
手術後、八木澤先生が来てくださり、「ご主人の手術は成功して、尿も出始めましたよ」とお聞きした時の嬉しさは忘れられません。人生の中でこれほど嬉しかったことはありません。今でもこの時のことを思うと感動で涙が出てきます。
瀧川さん:
自分の力で尿を出すことが出来た時は、言葉にならないくらい本当に嬉しかったです。また、移植後はどうなるのか不安だった妻の体調も良好で、移植に踏み切って本当に良かったと思いました。
週3回の透析からも開放されましたので、自由な時間が増え、人生が長くなったような気がしています。色々とやりたい事も広がり、意欲が湧いてきました。
大切な腎臓の為に
移植後はどの様なことに気を付けて生活していますか?
瀧川さん:
腎臓の為に、塩分と蛋白質の摂取を控えるなど、食生活に気を付けています。また、重い荷物などを持たないように注意をされているのですが、妻にばかり重いものを持たせるのは男のプライドが許さないので、ついつい持ってしまうのですが、その都度妻に強く叱られます。旅館のフロントでどちらが荷物を持つかで言い合いになった事もありましたね(笑)。
奥様(ドナー):
私も食事には気を付けて生活していますが、なかなか合格点には至らず反省ばかりです(笑)。移植後は腎臓内科の先生に厳しくご指導頂いているのですが、先生からは「ドナーの方が透析になってはいけないから、私は色々と口うるさく言うのですよ」と言われました。少し痩せるように言われているのですが、食事制限だけでは限界なので、最近スポーツジムに入りました。
日常の服薬や、血圧、体重などの管理はどの様にしていらっしゃいますか?
瀧川さん:
朝は体温と血圧、体重を測定し、夕方にも血圧を測定するようにしています。測定する時間は朝6時と夕方6時に決め、出来るだけ毎日同じ時間に測るようにしています。
薬は妻と確認し合って、間違いが無いように服用しています。
移植後、新たに始めたことはありますか?
瀧川さん:
移植後は毎朝ラジオ体操を行い、毎日40~50分のウォーキングもしています。その他、ペン字の通信講座を受けたり、ハングル語の勉強を始めたりと色々な事に挑戦しています。
また、移植前は旅行にもほとんど行っていなかったのですが、移植後は新しく車を買ったこともあり、妻とドライブ旅行を楽しんでいます。自分で行く場所を決め、旅行の計画を立てるのも大好きなので、今後も色々なところに行きたいと思っています。
奥様(ドナー):
私も移植後は主人の透析施設への送り迎えが無くなりましたので、自由な時間を取り戻すことが出来、生活を楽しめるようになりました。また、主人が大変意欲的になって、様々なことに挑戦するようになりとても嬉しかったです。意欲的になった主人の姿に触発され、私も以前やっていた卓球を再開することにしました。現在は週1回、コーチのいる卓球クラブにも通っています。