楽しく充実した余生のために

移植後、新たに始めた事や、今後の夢はありますか。

奥様と一緒に

佐藤さん
これといって無いですが、これまで行けなかった2泊以上の旅行に行けたことでしょうか。これからも妻と旅行をしていきたいです。

今回佐藤さんは70歳を超えての移植手術だったわけですが、移植手術に年齢制限のようなものはあるのでしょうか。

三浦先生
移植手術の適応基準を満たしていて、手術に耐え得る状況であれば、特定の年齢だけで区切るようなことはしていません。若い方が移植を受けて、20年、30年と透析をせずに元気に過ごせるようになることも大変重要ですが、高齢の方も移植をして、たとえ5年でも6年でも、楽しい余生を透析無しに過ごしていただければいいなと思います。もちろん、10年、15年と元気に過ごしていただければ更に素晴らしいことだと思います。


奥様
主人は移植を考えていた時75歳で、平均寿命まであと4年でした。でも、たとえ2年や3年でもいいので、透析から解放してあげたいと思いました。

15年以上の長期の透析を受けながら、更に75歳というご高齢での移植手術にも耐えることができたのはなぜだと思われますか。

佐藤さん
おそらく、私が受けていた透析の質が良かったのだと思います。


三浦先生
更にご本人の日々の管理も良かったため、手術に耐えうる状況だったのだと思いますね。


メッセージ

最後に、現在、移植を検討している方や移植を待っている方にメッセージをお願いします。

佐藤さん
長年透析でつらい思いをしている方、また、高齢で諦めている方でもドナー共々健康であれば移植は可能です。 私も76歳で手術を受け2年になります。厳しい検査をクリアするためにも体調を整え、数少ない機会を有効に生かして欲しいと思います。移植手術にあたっては、やはり透析中の管理が大切ですので、しっかりとした透析を受け、自己管理をきっちりとしていただければと思います。


奥様
移植手術を受けるかどうかの検査自体も、実は大変意味があるもので、主人の場合も初期のがんが見つかり、すぐに治療を行ったことで、移植だけでなくがんの治療もできました。


佐藤さん
透析をそのまま継続して、移植手術を検討していなければ、そのがんも見つからなかった可能性が高かったですので、それだけで寿命が伸びたかもしれません。


奥様
実際、私も移植前のドナー検査で胆石が見つかり、手術の際に一緒に取っていただきました。しっかりと検査をしてもらったおかげで、臓器提供は夫のためだけでなく、結果として自分のためにもなりました。


佐藤さん
知り合いの方で、お父様から移植した腎臓が3年で駄目になってしまい、再び透析に戻った方がいらっしゃいます。移植された腎臓を長持ちさせる為にも、術後の管理が重要だと思います。生体腎移植の移植後3年の腎生着率は95%とお聞きしていますが、残りの5%に入らないように肝に銘じて生活しなければと思っています。
最後に、高齢者のわがままを受け入れていただき、三浦先生には本当に感謝しています。移植コーディネーターと移植チームの皆さんにも感謝しています。
また、15年間透析を診てアドバイスをしてくれた函館五稜郭病院の透析室の小原先生、(今は転勤された長谷川先生・鈴木先生)はじめスタッフの皆さんにも感謝いたします。
ドナーになってくれた妻には、良くドナーになってくれたと敬意を表しますとともに、これからも元気で私より先に逝くことがないように健康でいてほしいですね。

集合写真