名古屋第二赤十字病院レシピエントインタビュー第4回目は、約1年前にお祖母様がドナーとなり、生体腎移植手術を受けられた鈴木真奈ちゃんのお母様です。真奈ちゃんは生まれてすぐに腎不全の症状が出始め、2歳の時に移植手術を受けました。移植を受けるまでの苦労の日々や、移植後、とても元気になった真奈ちゃんの様子などを、お母様からお聞きすることができました。
真奈ちゃんが移植を受けるまでの経緯
- 2010年11月(0歳) 誕生 腎不全症状が出始める
- 2011年 保存療法開始
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2012年(1歳) 腹膜透析導入
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2013年6月(2歳) 生体腎移植手術
食欲がなくて
真奈ちゃんが移植するまでの経過を教えてください。
お母様:
2010年11月に正常分娩にて真奈を出産しましたが、生まれた直後から元気がなく、食欲もなく、ずっと吐いたりしていました。おかしいと思いながらも病院に通っていたのですが、生後半年の時に腎不全と診断され、1歳の時に腹膜透析を開始し、その1年半後に移植しました。
腎不全と診断された当初から、移植の話は出ていたのですか。
お母様:
腎不全と診断された時、「お子さんは、いずれは腎移植をしないと生きていけません」ということは聞いていました。当時は移植についてはテレビで得られる情報くらいしか知らなかったので、全くピンときませんでした。
移植をするまでには、いろいろな苦労があったと思いますが、どのように過ごしていらっしゃいましたか。
お母様:
移植は、「最低限の目標体重と目標身長に達しないとできない」という話でしたので、毎日本当に大変でした。とにかく食欲がなくて、「この子は生きる気がないのかな」と思うぐらいミルクを飲みませんでした。普通の赤ちゃんは、だいたい3時間置きぐらいにミルクを飲むのですが、真奈は何時間空けても飲みませんでした。「おなかがすいていないのかな」と思って、試しに6時間空けたこともあったのですが、その時もミルクが欲しくて泣くことはありませんでしたし、あげてみても「要らない」という様子で、全然飲まなかったですね。
その後、生後6カ月の時に、当時、月に1回通っていた病院で採血をし、家に帰ろうとしていたところ、「今すぐ病院に戻ってきてください」という電話がかかってきて、そのまま緊急入院となりました。
それから腹膜透析を始められたのですね。
お母様:
「腎機能の方も限界があるから、とりあえず透析をするしかないです」と言われたので、腹膜透析を開始しました。
腹膜透析を開始してもあまり食欲はありませんでしたが、透析をしていなかった時よりは、少しミルクを飲むようになりました。それでも、「生きる気があるのか」と言われれば、「きわどい」と思うぐらい、本当に飲みませんでしたし、食べませんでした。そのため全然大きくならず、1歳になってもまだ赤ちゃんのサイズでした。
昔から真奈を連れて歩いていると、通りすがりの人から、実際の年齢よりも1歳から半年ぐらい小さく言われます。1歳の時は、「6カ月?」などと言われていました。それぐらい小さかったです。
経管栄養はいつから開始されたのですか。
お母様:
1歳ぐらいのときに始めました。経管栄養を開始して、その後腹膜透析を開始しました。経管栄養に関しては今となっては、「もっと早くやっておけばよかった」と思いますが、当時は私が経管栄養に対して抵抗がありました。完全に育児ノイローゼ気味で、「そのようなものに頼ってはいけない」と思っていたので、「自分の力で何とかしたい、普通に育てたい」と必死でした。
毎月目標体重を決められて、「目標以下になったら経管を入れますよ」と言われていました。結局、目標体重に届かない月が3回ぐらい続いて、経管栄養を開始し、以来ずっと経管栄養となりました。
経管栄養を始めてからも吐いてしまうことが多く、1日4回ぐらいは吐いていました。飲まなかったときは吐くことも少なかったのですが、経管で入れると吐く量も多くなるので、いっぱい入っていっぱい出てしまうという状態でした。経管栄養を始めても、全然大きくはなりませんでした。
名古屋第二赤十字病院へ
名古屋第二赤十字病院へは、いつ転院されたのですか。
お母様:
腹膜透析をしていた時、2歳になる前くらいでした。一時的な転院でこちらの病院に来て、先生たちとお話ししているうちに、「こちらの病院でお世話になりたい」と思い、そのまま転院しました。
名古屋第二赤十字病院の、どのような点が良かったのですか。
お母様:
先生たちとお話ししていても、とても感じがよく、「こちらの病院の方が、私たち親子と相性がいい」と感じました。そして、「この子を任せるならこの病院だ」と思うようになりました。
病院では、どうでもいいような些細な質問というのは本当に聞きにくいのですが、その些細なことが自分の中では重要だったりします。こちらの病院には、そんな質問にも、「これはこうなんだよ」と答えてもらえる、何でも聞ける雰囲気がありました。
些細な質問というのは、例えばどのようなことですか。
お母様:
子どもの夜の寝付きが悪いとか、腎臓に関係がないような悩みです。小さい子どもなので、発達面を含めて小さな悩みがたくさんありましたが、先生方が、「今はそんな時期ですよ」などと言いながら、いろいろと話を聞いてくれたのが良かったです。
後藤先生:
小児の腎不全もチームで診ていますので、腹膜透析を畔柳先生が担当し、移植を私が担当しています。
お母様:
両先生とも、ついつい長話をしてしまうぐらい、本当に何でも話しやすかったです。あまり「先生」という感じがしません(笑)。今までに大きい病院を3軒回ってきましたが、移植のような大きな手術をお任せするのであれば、「話しやすい、相談しやすい先生がいらっしゃる病院がいいな」と思いました。