多くの人の優しさに触れて
移植後、うれしかったことはどのようなことですか。
光子さん:
体力が少し戻り、トイレも1人で行けるようになり、主人と2人で外出ができるようになったことです。
普段の買い物はもちろんのこと、お花見や花フェスタ記念公園(岐阜県可児市)、主人の実家がある新潟などにも行くことができました。
政二さん:
妻が私の腕につかまり、喫茶店などの店内に入れるようになったことも、うれしいことの1つです。移植前に比べて食事制限も大幅に軽減されましたので、人生観が大きく変わりました。
また、妻は長い間立っていることはできませんし、目も良くないので、炊事や洗濯などは私がやっていますが、洗濯物をたたむなど、できる家事はやってくれるようになりました。加えて、移植後は部屋の中を歩けるようになったので、私が戸を開けっ放しにしていたり、電気をつけっぱなしにしていたりすると、その度に怒られています(笑)。私たち夫婦は2人で一人前ですね(笑)。
夫婦間移植の良さが伝わってくるエピソードですね。
政二さん:
私はドナーになって本当によかったと思っています。移植によって妻はこんなに元気になり、外出できるようになりました。妻は車いすで移動しているのですが、最近はドライブインなどにも車いすに対応したトイレが完備されているので、とても出かけやすくなりました。外出先でもとても親切な方が多く、エレベータに乗ると、私たちが降りるまでドアを開けるボタンを押してくれたりします。多くの人の温かさにも触れることができますし、外出できるということは本当に素晴らしいですね。
光子さん:
外出すると、多くの親切な方に出会うことができます。こちらから明るく挨拶をすると、皆さんすごく優しいです。
恩返しのために
移植後、新たに始めたことや今後の夢はありますか。
光子さん:
これからは主人と2人でいろいろなところに遊びに行きたいです。また、主人はいつも私の身の回りの世話をしてくれるので、たまには息抜きで、1人で好きな写真撮影にも出かけてほしいと思います。
政二さん:
移植後、移植前とは比べものにならないくらい、妻は元気になりました。移植のための検査に入る直前は、本当に食事が取れず、塩分やタンパク質も制限が必要でしたので、食べるものがありませんでした。ここまで元気になれたのは、本当に、先生方や看護師さんにいろいろと教えてもらったからこそだと思っています。
移植後、何らかの形で病院や先生方、スタッフの皆さまに恩返ししたいという気持ちがあり、ちょうど渡邉さんからも患者会の運営を頼まれたこともあり、「ドレミの会」(患者会)の運営に携わるようになりました。腎不全で苦しんでいる方々に、私たちが何かの力になれればいいなと思っています。
患者会の活動を通じて、腎不全で苦しんでいる方に寄り添い、腎移植という選択肢を知っていただくことができればいいですね。
政二さん:
そうですね。ドレミの会の運営に携わっていると、長年透析を受けている方にもお会いすることがあるのですが、中には、透析を受けた日はしんどくて、最低でも半日は動けないという方もいらっしゃるようです。そのような透析治療で苦労されている方々にも、腎移植という選択肢もあることを説明できる機会があればと考えています。まずは患者会にそのような方々が参加できる場を作り、実際に移植した人の話を聞いて理解した上で、先生から専門的な話を聞いてみるというような流れができないかと考えています。
感謝とメッセージ
愛知医科大学病院はどのようなところが良かったですか。
政二さん:
私が若いころに病院に入院した時には、先生も看護師さんもとても偉そうにしていて、病院に対して良いイメージは無かったのですが、愛知医科大学病院の先生や看護師さんは皆さんすごく優しく丁寧で、驚きました。
光子さん:
こちらの病院では先生方や看護師さんが、慌てずゆっくりと納得がいくまで説明してくださいました。
主治医への思いを教えてください。
光子さん:
移植をして本当に良かったです。新たな人生を頂いて本当に感謝しています。
ドナーへの思いを教えてください。
光子さん:
感謝はもちろんのこと、いつまでも健康でいてほしいと思っています。
最後に、現在移植手術を控えている、または移植手術を検討しているレシピエントやドナーの方へメッセージをお願いします。
政二さん:
もし、移植を受けようか悩んでいらっしゃるのであれば、まずは経験者からお話を聞いてみてほしいと思います。患者会などに参加して移植を受けて元気になられた方とお話しすることで、気持ちは大きく変わると思います。
また、先生や看護師さんから納得がいくまで話を聞くことも大切です。皆さん初めての経験ですから、躊躇することもあると思いますが、信頼できる病院、先生を探し、積極的に話を聞いてみてください。