移植医療との出会い
移植に関しては、いつ、どの様にして知ったのですか?
小笠原さん:
もちろんそれまで移植に関する知識は全くありませんでした。急に透析をする事になってしまいましたので、透析を受ける為の書類の手続きなどが自分で出来ず、妻に病院に来てもらい、手続きをする事になりました。
妻が病院に来た際、先生から「腎移植も可能かもしれない」という話があり、夫婦間の移植が可能で、保険も適用されるという事を初めて知りました。
私が初めての透析を受けながら、「この透析装置なくして今後の自分の人生は無いのだな」と思っていたところ、先生から移植の話を聞いた妻が、即、「手術を受けます(ドナーになります)」と言ってくれました。
奥様はそれまでは移植に関する知識はお持ちだったのでしょうか?
小笠原さん:
妻も私と同じく、移植に関する知識はそれまで全くありませんでした。
妻からの強く、温かい言葉
その後すぐに移植手術の話が進んだのでしょうか?
小笠原さん:
妻から「ドナーになります」と言われた時は、とても嬉しく喜んだのですが、少し落ち着いてくると、私はもう70歳ですし、あと10年も生きればいい方だと思い、透析をしながら生活していけばいいと考えるようになりました。
その後奥様との間ではどの様なやり取りがあったのでしょうか?
小笠原さん:
ドナーになろうとしてくれている方(私の場合は妻)との話については、移植手術を受けた方全てが経験された事だと思いますが、本当に様々な葛藤がありました。
私は70歳でしたので、「やめよう」と言いますと、妻が「あなたがそんな事を言うのなら、献腎ドナーの登録をして、他人に提供しますよ、いいのですか」と言われ、最終的には決心しました。
原田先生と初めて移植について話をされた時には、どの様な会話がありましたか?
小笠原さん:
移植手術をして頂けるものだと思って、病院に伺ったのですが、まず先生から「70歳ですか」という様な話をされ、「もしかしたら年齢的に無理なのかもしれない」と思いました。
その後すぐに先生が「実年齢よりもお若いですね」と言ってくださったので、内心、「ひょっとしたら大丈夫なのかもしれないな」と思いました。
原田先生:
移植に関しての年齢制限には目安はあります。ただ、ドナーの方がおり、ドナーの方のお気持ちにも問題がなく、レシピエント、ドナー共に医学的に問題が無ければ、移植は可能です。
小笠原さんも一度説明を聞きにいらっしゃってから、ご自宅で検討され、その後移植を受けるとのお電話を頂いたと思います。
移植が決まってから、実際の手術までの期間はどのくらいでしたか?また、その間特に気を付けていたことはありますか?
小笠原さん:
移植手術までは6か月ありました。その間は通常(透析時)の健康管理を行っていました。