素晴らしい移植医療を多くの人へ伝えたい
今後、取り組んでいきたい事はどんな事でしょうか?
小笠原さん:
今後私が一番やりたい事、それは、腎移植医療をより多くの方に知ってもらう為の啓発活動です。夫婦間でも、血液型が違っても、手術費用の自己負担も何百万円もかからないで腎移植は受けられるという事を、腎臓病や透析で苦しんでいる方、又、一般の方に是非知ってもらいたいです。
私は以前、移植が夫婦間で出来ることや、血液型が違っても出来ることを知りませんでしたし、手術費がどのくらいかかるのかも知りませんでした。移植をする事になった時、友人からは「費用は300万円位かかるのではないか」という様な事も言われました。実際は、私の腎移植手術の自己負担金額は食事、病衣込みで8万8千円位でしたね。
何故啓発活動を始めようと思ったのですか?
小笠原さん:
私が移植について知らなかったように、知り合いの移植者の方で透析をされていた方も皆、「透析の先生から移植という選択肢があるという話を聞いた事は無かった」という事をおっしゃいます。
透析には一般的に年間500万円以上の医療費がかかります。移植を受ければ2年目以降は、一般的に医療費をその半分またはそれ以下に抑える事が出来るのです。医療費の増加がこんなに問題となっている中で、1人でも2人でも私の様に移植を知り、移植を受けられる方を増やせるならと立ち上がりました。
日本には、移植手術を出来る病院が、130施設以上もありますが、実際はその内の17施設で全手術の半分以上が行われています。多くの手術可能な施設があるのに移植手術は頻繁には行われていないのです。
多くの人が移植医療についての正しい知識を持てば、移植を受ける人が増えると考え、私は自分の体験をもとに、多くの人に語っていきたいと考えています。
どの様な場でお話をしていらっしゃるのですか?
小笠原さん:
自分が参加する様々な会合の際に、必ず3~4分間時間を頂いて話をさせて頂くようにしています。
ポイントは、夫婦間でも、血液型が違っても移植は出来るという事と、保険が利くという事、そして術後のドナーの健康は、医学的データによると、ドナーではない一般の方と遜色がないことが実証されている、という事をお話するようにしています。
現在、透析や腎臓病で苦しんでいる方に話す場を設けて頂きたいという事を行政に対しても働きかけています。
原田先生:
移植医療に関する様々な講座を開きますが、その場に話を聞きにこられる方は、ほとんどが移植をされた方か、移植に関しての興味関心が高い方で勉強をしたいという方です。
移植医療について聞いた事がない透析患者さんや、透析に入る前の患者さんはいらっしゃらない為、その様な方にも移植医療についてお話をさせて頂く場が出来るといいですね。
小笠原さん:
移植医療を知らない方、腎不全、特に人工透析で苦しんでいる方には、是非知ってほしいのです。私が不安だったことは皆さん不安だと思うので、悩んでいるようであれば、まずは相談してほしいと思います。多くの方が移植医療の正しい知識を得、移植医療に挑戦され、素晴らしい人生を取り戻されます事を切に願っております。