心と体も大きく成長して
移植後、正暉くんは元気になりましたか。
お母様：
移植前とは全然違います。食欲が出ましたし、顔色も良くなりました。身長も伸びて、私もあっという間に抜かされてしまいました。移植したときの身長は120cmだったので、7年で50cm近く伸びたことになります。今は、食事は特に制限なく食べていますが、塩分の取り過ぎだけには気を付けています。
正暉くんはどんな食べ物が好きですか。
正暉くん：
お肉だったらなんでも好きですね。お肉をがっつりと食べるのが好きです。
北田先生：
たまに正暉くんに会うと、本当に大きく立派になったなと思いますね（笑）。正暉くんは成長期前に移植することができたので、ここまで大きくなれたのだと思います。
小児の移植手術のタイミングは本当に大切です。移植によって、心と体の成長が必要な大事な時期に、周囲の子どもと同じように学び、遊べるようになることは、非常に意味のあることだと思います。
移植をしてから一番良かったこと、うれしかったことはどのようなことですか。
お母様：
腹膜透析中は、APDを行うために何時までに家に帰らなければ、というように毎日時間の制約がありましたが、移植後はそれが無くなり、家族で旅行にも行けるようになってうれしかったです。
正暉くんは今後、行きたいところはありますか。
正暉くん：
アニメが好きなので、東京（秋葉原）に行きたいです。
移植後の生活ではどのようなことに気を付けていますか。
お母様：
薬の飲み忘れがないように、規則正しい生活を送ることや、腎臓を移植した方のおなかに負荷がかからないように気を付けています。また、移植前から行っていましたが、外出から帰宅した後は手洗い・うがいを徹底しています。
薬の管理は本人に任せているのですが、何回か飲み忘れたことがあり、学校まで届けたこともあります。そのため、今は学校に予備の薬を持って行かせるようにしています。
薬はどのように管理しているのですか。
お母様：
小さいジッパー付きの袋に曜日ごとに分けて管理しています。夜は飲み忘れが無いのですが、朝はバタバタしていて、飲み忘れが起こりやすいです。携帯のアラームは私も本人も5分おきにかけているのですが、服用する前にアラームを消してしまうことがあるので、飲んでからアラームを消す、ということを徹底しないとだめですね。薬の殻は残しておく決まりになっていて、私の方できちんと飲んだかをチェックできるようにしています。
北田先生：
この年頃は薬の飲み忘れが一番起こりやすいですからね。正暉くん、みんなの想いが詰まった腎臓だからね、大切にするんだよ。
薬を飲み忘れても、最初は体調に変化が現れないことが多いんです。だからこそ怖いのです。飲み忘れによって腎機能が悪化し、あわてて治療を始めてもなかなか腎機能はもとに戻りません。そのまま透析に戻ってしまうことさえあります。
私は、小児の移植患者さんには、「きちんと服薬することが、勉強よりも大切かな・・・」と言っています。どちらも大切なんですけどね。ただ、勉強は後からでも取り返せますが、服薬を怠り拒絶反応が起こってしまってからでは取り返しがつきません。そういう意味では、やはり薬のほうが大切ですね。これから大学生になって一人暮らしをするようになると、さらに飲み忘れが起こる危険性が高くなるので、本当に気を付けてください。
規則正しい生活は送っていますか。
正暉くん：
24時までには寝るようにしています。朝は7時に起きるようにしています。
お母様は腎提供後、どのようなことに気を付けて生活していますか。
お母様：
ドナーの私が元気でなくなると、正暉や家族の負担になると思うので、健康管理に気を付けて、元気でいるように心がけています。
正暉の外来受診の際に私も一緒に来ているので、何かあればそのときに先生に相談したり、検診を受けたりしています。
ピーエスクリニックの外来を受診するようになってどうですか。
お母様：
大学病院の外来では、薬をもらうまでに半日かかってしまうこともありましたが、こちらのクリニックはそのようなことはありません。待ち時間は短く、診察時間は長く、薬はすぐにもらえるのでとても通院しやすいです。
