感謝とメッセージ
北田先生:
正暉くんは移植後、お母さんに「ありがとう」と伝えましたか。
正暉くん:
照れくさくて言っていません。
お母様:
卒業式の時に、作文のような形でもらったことはありますね。
正暉くんにはどんな夢がありますか。
正暉くん:
自動車整備士になって仕事につきたいです。今、そのための勉強をしています。
先生にお伝えしたいことはありますか。
正暉くん:
僕の命の恩人です。とても感謝しています。
お母様:
北田先生には感謝してもしきれないくらいです。また、先生はフレンドリーで飾らない方なので、とても話しやすく、私のいろいろな質問にも丁寧に回答してくださるので、いつも本当に感謝しています。
最後に現在移植を検討している子どもたちやそのご両親にメッセージをいただけますか。
正暉くん:
「頑張れ」としか言いようがないですが、腎移植はぜひ勧めたいです。移植後は元気になって食欲も出てくるし、友だちと一緒に勉強も遊びもできるようになります。薬は飲み続けなければなりませんが、たくさんのメリットがあると思います。
お母様:
まず、移植ができる状況であれば、早めに移植をすることをお勧めします。正暉は、移植前は腎不全のために身長が伸びませんでしたので、周りにもそのことを言われて、嫌な思いをしたこともありました。移植後の成長は目を見張るものがあります。そんな息子の成長を見ることができて、本当にうれしかったです。移植前は不安が一杯でしたが、移植後は不安が格段に減りました。
また、子どもの移植に関する情報はとても少ないのが現状だと思います。ぜひ納得するまで情報を求め続け、ご自身に合った医師に出会うまで病院を探し続けてください。私も、ある医師の診断に納得がいかなかったため、自分が納得できる治療を求めて数々の病院を回りました。その結果、北田先生までたどり着くことができ、その他のいい先生たちにも恵まれました。
今は、病気のお子さんを抱えて、色々な不安や心配事がたくさんあると思いますが、移植後の元気な姿を見たら、それまでの苦労も忘れてしまうくらい、「本当によかった」と思えると思います。諦めずに頑張ってください。
北田先生:
お母様が手術前に涙した、息子さんと二度と会えないかもしれないという思いで手術に臨まれたという話を直にお聞きすると、移植外科医としての責任の大きさをあらためて感じます。そしてこうやって元気な親子の様子をみせて頂くことで、私自身が幸せな気持ちになります。本当に有難いことです。
移植によって元気になり、普通の子どもと一緒に学び成長していくことがどれだけ大切で重要なことなのか、そして親御さんがどのような思いで移植に臨まれているのか、正暉くんのような小児移植者の体験談を通じて多くの人に知ってほしいと思います。