奈良県立医科大学附属病院レシピエントインタビュー第1回目は、二度の移植(献腎移植、生体腎移植)を受けられた、野村久美さんです。野村さんは高校生のころに血液透析導入となり、20代前半に献腎移植手術を受けられました。そしてご結婚され、かわいいお子さんにも恵まれました。1回目の移植から約20年後、妹さんの温かい申し出により生体腎移植手術を受けるまでのお話や、移植後の充実した毎日のお話などを、娘さんの仁衣那(にいな)ちゃんも交え、お聞きすることができました。
野村さんが移植を受けるまでの経緯
- 小学校5年生頃 学校の尿検査で再検査となる
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16歳頃 血液透析導入
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20代前半 献腎移植手術
- 30代前半 第1子出産
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41歳 生体腎移植手術
透析導入
腎不全の徴候が出始めたころの様子について教えてください。
野村さん:
小学校5年生ごろから、学校の尿検査で再検査を受けるようになり、入院して検査をしたのですが、特に問題はないと診断されました。その後も、体調が悪くなることもなく、普通の生活をしていました。
運動の制限などはありましたか。
野村さん:
「運動はあまりしないように」とは言われていました。でも、クラブ活動でバスケットボールをやっていたので、そちらを優先してしまい、ついつい通院がおろそかになってしまいました。
いつごろから、いろいろな症状が出始めたのでしょうか。
野村さん:
高校生になったころから、少し歩くだけで動悸、息切れがして、足がむくむようになり、通学でいつも歩いていた距離が、だんだんきつく感じるようになりました。個人病院で診てもらったところ、「恐らく透析になると思いますが、もう一度、大きな病院で検査してください」と言われました。その時に、「もう子どもは産めないかもしれません」と言われました。
献腎移植手術へ
その後、血液透析導入されたとのことですが、すぐに移植の話はあったのでしょうか。
野村さん:
すぐにはありませんでした。透析導入となって1年ぐらいたったころに、通っていた透析クリニックで、献腎移植希望の登録の話を聞きました。
「移植」と聞いて、どのような印象を持ちましたか。
野村さん:
特に思い浮かぶものはありませんでした。言われるままに登録した、という感じです。移植についての情報が無く、知識もありませんでしたので、「もしも手術がうまくいかなかったら死ぬのかな?」と不安に思っていました。そのような感じでしたので、移植希望の登録をしてからも、移植のために特に何かに気を付けて生活をするようなことはありませんでした。
先生、現在は若い女性が透析導入になりそうな状況であれば、すぐに移植の話をされるのですか。
吉田先生:
そうですね。特に若い女性に対してはなるべく早く移植の話をします。現在は、透析をしないでそのまま移植をする可能性(先行的腎移植)を考え、「どなたか提供してくれる家族はいませんか」とお聞きして、ドナーになれる方がいらっしゃるのかどうかを確認しますね。やはり、長い間透析をしていますと、成長や内分泌機能などに影響が出てきてしまいますので。
献腎移植希望の登録をしてから、手術を受けるまでの期間はどのくらいでしたか。
野村さん:
約4年です。移植手術を受けたのは3回目の連絡の時で、その前に2回連絡をいただきました。
献腎移植手術を受けた時の状況を教えてください。
野村さん:
20年以上も前のことですので、あまりはっきりとした記憶がないのですが、連絡をいただいて病院へ行くと、病院の先生や看護師さんに指示されるままに、どんどん準備が進み、そのまま手術を受けたという感じでした。
献腎移植手術後の経過はどうでしたか。
野村さん:
貧血がなかなか治らず、輸血を何度もしましたが、順調な方だったと思います。