メッセージ
吉田先生への思いを教えてください。
野村さん:
約20年、本当にお世話になっています。体調を悪くして入院している時や、初めての出産で入院していた時、毎日のように病室に来てくださったことにとても感謝しています。先生の顔を見ると、なぜかすごく安心します。出産の時は産婦人科の先生に診ていただいたのですが、なぜか他の先生だと不安な気持ちでいっぱいでした(笑)。私は、もう吉田先生と米田先生でなくては駄目なのです(笑)。
20年来の関係ですものね。
吉田先生:
移植後の患者さんの出産というのは、本当に気を使います。産婦人科ですと、移植腎機能や全身状態などの管理は少し疎かになることもあると思うので、産婦人科の医師を信用していないということではなく、見落としがないかどうか、泌尿器科として慎重になるのです。当院ではすでに200例近くの腎移植を行いましたが、移植後の女性の出産はたった3例くらいですから、万が一何かが起こっては大変ですので、いつも以上に丁寧に慎重になるのです。移植後の患者さんが無事に子どもを産むことが、次に続く人のためでもありますしね。
それぞれのドナーの方への思いを教えてください。
野村さん:
1回目は献腎移植で、ドナーの方やそのご家族に直接御礼を言うことはできませんでしたが、感謝の気持ちでいっぱいです。
2回目は、妹からの生体腎移植ですが、妹に対しても感謝の気持ちのみです。頂いた腎臓を大切にしたいです。今は、妹の方が体に無理をしていると思うので、気を付けて健康でいてほしいです。
現在、移植手術を検討している、または移植手術を待っている方へのメッセージをお願いします。
野村さん:
透析を問題なく受けておられる方から、「痛い思いをして、うまくいくかどうかも分からない移植手術を受けるよりも、このままでいい」というお話を聞いたことがありますが、「移植をすることで、もっと楽しく、生き生きとした生活ができるようになる」ということをぜひ知ってほしいです。
吉田先生:
そうですね。「移植したら死んでしまう」という話は、一昔前のものです。以前から、「移植しても、腎臓はもって2〜3年」という噂や風評がありましたが、いまだにそのような誤解が根深くありますね。透析に関しても、「透析を始めたら、もう命はない」「透析よりは死んだ方がマシだ」などと言われ、誤解されている方もいらっしゃいます。透析医療も昔に比べると、とても良くなっています。
しかしながら、野村さんは身をもって知っていると思いますが、移植は、その透析とも全く違う次元のものです。
野村さん:
全然違いますね。透析を始めて何回かは、なぜかは分かりませんが、針を差すたびに泣けてきたのです。きっと先の見えない将来に対して不安になっていたのだと思います。また、その頃は、自分は結婚もできないと思っていましたが、移植後は結婚もでき、子どもを産むこともできました。
吉田先生:
透析をしている特に若い女性の方は、もし機会があるのであれば、移植について、ぜひ一度考えていただきたいです。移植後は、家庭が円満になる方も多いです。仁衣那ちゃんみたいな、かわいい子ができる方もいますので。
仁衣那ちゃんの夢はなんですか。
仁衣那ちゃん:
声優になりたいです。もともとアニメが好きで、台詞に勇気付けられたことがあるので、今度は私が勇気づける方になりたいと思っています。
吉田先生:
本当に移植をしてよかったですね。未来の声優が生まれるために、移植があったのかもしれないですね。