手術を乗り越えて

そして、やっと移植手術の日を迎えることができたわけですが、手術を終えた時のことは覚えていらっしゃいますか。

佐藤さん
麻酔から覚めて、ICUのベッドにいた時には、暑かったからなのか、恥ずかしながら、冷たいビールを飲む夢を見ました(笑)。そして、「とにかく、一山超えたのかな?」と思いました。それと同時に、不安もありましたね。

それはどのような不安でしょうか。

佐藤さん
手術前の説明では、せっかく移植してもうまくいかず、透析をしなければならなくなる可能性も数%はあると聞いていましたので、「頂いた腎臓はきちんと動いているのだろうか?」という不安がありました。

岩本先生、現在、生体腎移植でプライマリーノンファンクション(移植された腎臓が働かないこと)は、どのくらいの割合で起こるのですか。

岩本先生

岩本先生
術前検査もしっかり行っていますので、基本的にはありません。ただ、移植1年後の生着率は、97~98%くらいですので、100人中2~3人は移植後1年以内に透析に戻るということも事実です。あとは、移植手術も全身麻酔をかけますので、他の手術と同様に、事故的な合併症がないとは限りません。移植前にはそのような説明もきちんとさせていただいております。

その後心配されたようなことも起こらず、無事に一般病棟へ移られたと思うのですが、こちらの病院では、生体腎移植手術の際の平均的な入院期間はどのくらいですか。

岩本先生
早い方ですと10日間くらいのこともありますが、平均で3週間くらいだと思います。ただ、例えば傷の治りが悪かったり、合併症が起こった場合には、1カ月くらいかかります。

佐藤さんはどのくらいの期間、入院されていたのですか。

佐藤さん
私は術前も含めて1カ月強、入院しました。移植外科の病棟に入院する前に、緊急で腎臓内科に1週間、移植手術後は2~3週間入院していたと思います。退院した後も、何度か調子を崩し、2~3日から1週間程度の入院をしました。


岩本先生
佐藤さんは移植後、最初は順調だったのですが、その後に少し拒絶反応を起こし、プロトコール生検※ も合わせて腎生検を3回くらい行いましたね。

※ 腎機能や尿所見の悪化の有無によらず定期的に行なう移植腎生検のこと。

現在、急性拒絶反応はどのくらいの頻度で起こるのでしょうか。

岩本先生
軽いものから重症のものまで含めると、20%くらいだと思います。ただ、最近は免疫抑制剤が良くなっていますので、現在の薬が登場する前と比較すると減っていると思います。また起こったとしても軽度で、薬で対処ができるようになりましたね。

術後、ドナーであるお母様と対面した時には、何かお話しされましたか。

佐藤さん
「大丈夫?」と声を掛けたと思いますが、言葉で「ありがとう」とは言えなかったと思います。退院後、自宅に戻った際に、顔を合わせて、「何とか無事に帰ることができました。ありがとうございます。」と伝えました。

退院後は体力も戻りましたか。

佐藤さん
手術直後は当然体力も落ちてしまいましたので、半年くらいは、歩いても階段を上っても、すぐに息が上がってしまい、つらかったですね。でも、最近はそのようなことも無くなってきたので、体力が戻ってきたとは思います。

お母様と一緒に