先生方への感謝
移植後、新たに始めた事や、今後の夢はありますか。
お母様:
小学生になり、普通学校の支援学級に通い、お友達がたくさんでき、普通に行事に参加できている今をとても有難く思います。多少の発達の遅れはありますが、めきめきと取り戻しています。娘が抽選でフェリーの旅を当ててくれたので、初めての旅行で箱根に行きました。プール教室にも通いました。四季に合わせた外遊びもたくさんしています。助けられて育ってきた分、娘はとても気が利く子で、人のお世話をしたがる世話焼きお姉さんです。私が風邪を引くと、家事などを全部やってくれたりもします。将来は看護師になりたいという夢があります。
三浦先生はどのような先生でしたか。
お母様:
初対面は想像していたより若い先生でびっくりしました。緊張感のある先生で最初は構えましたが、子供達にとても人気がある先生で、今も娘は病院嫌いにならずに済んでいます。移植医療にとても熱心な想いが伝わってきて、この先生にならお任せして大丈夫だとすぐに思いました。病棟でも先生と看護師さんと患者さんの関係がよく、安心して過ごせました。手術後の対応で必死さが伝わり、更に信頼感が強まりました。治療方針の説明でも、納得がいくまでしっかりと話をしていただき、進めてくれていたので、不安な中でも先生の存在が安心でした。小児腎移植に対してとても熱心な先生であり有難く思います。
ただ、今の状況では娘のような病状の子供の受け入れはなかなか難しいと聞いています。北海道は広くて道外での手術になると経済的負担は深刻な問題です。小児腎移植が道内でもっと発展して、先生方に活躍していただきたいと思っています。
三浦先生:
もちろん、小児の移植にはこれからも取り組んでいきます。ただ、今後はわかりませんが、今の状況では体重が20kg未満のお子さんの受け入れは当院ではなかなか難しいかもしれません。
小児移植を検討されている方へのメッセージ
最後に、現在、移植を検討しているお子様をお持ちの方にメッセージをお願いします。
お母様:
娘は生まれてすぐに移植をすることを決めていましたが、残る傷のことや手術の不安は大きく、当時は大きい手術をする我が子が可哀想だと思っていました。でも、移植手術をしたことで、健康だけではない「希望」が待ってくれていました。もちろん、移植をしたからといって、レシピエントの病気がすべて治り、心配が全くなくなるということではありません。でも、生活は全く変わりますし、成長する過程の子供にとっては移植を受けることは大人以上に大事なことだと思います。自分のことではないので怖くて迷い、いろいろ考えてしまいましたが、今は元気で暮らせている姿を見て本当に良かったと思っています。
三浦先生:
小児の治療は、その先の人生が長いので、40年後、50年後を見通して治療をする必要があります。現時点の医療技術で移植腎を50年、60年もたせる保証はありません。腎不全のお子さんを持つご両親は目の前のことで頭が一杯になってしまい、なかなかその先を見通す余裕が持てないかと思いますが、次の移植を人生の節目節目のどのタイミングで行うのか、そういったことを考える事もとても重要になってきます。
小児の移植は正直いろいろと難しい面も多いですが、私たちの病院で手術をするかどうかは別として、できるだけのお手伝いはしますので、まずは受診いただければと思います。