2回目の誕生日 元気一杯の日々

雄太郎くん、移植して何か変わった事はありますか?

雄太郎くん
野球で走りこみをする時、前より楽になりました。

濱崎さん
移植前は野球の練習も半分くらいしか出来なかったのですが、今は全部ついていけるようになりました。コーチからも「体力がついたね。」と言われます。

もうすぐ移植後1年が経ちますね。何かお祝いをする予定はありますか?

濱崎さん
雄太郎は「僕の誕生日は年に2回だね。1回目は3月9日、2回目は8月5日」と言っています。なので、8月5日はお誕生日会をしようと思っています。

移植をして一番嬉しかったことはどんなことですか?

濱崎さん
1つは、退院後すぐに2学期から元気に中学校へ通えたことです。手術前は休学も考えていたのですが、予定通り夏休み中に手術が終わり、退院することが出来て、2学期から友達と元気に学校に通えたことは本当に嬉しかったです。
登校時の荷物がとても重かったので、先生に「重いものを持たせて歩かせて大丈夫でしょうか?」とお聞きしたのですが、先生は「全然大丈夫だから普通に歩かせてください。」とおっしゃったので、私が送ることもなく、雄太郎は自分で荷物を持ち登校していきました。
その日は登校する姿を写真に撮りました。まるで、入学式のような気分でした。
もう1つは、移植前に休部していた野球チームの試合が移植後2ヵ月後の10月にあったのですが、チームから「体調が良ければ応援に来ませんか。」との話を頂き、ユニホームを着てグラウンドに行きました。
思ってもみなかった事に、ベンチにも入れてもらい、また試合終了後の挨拶で、グラウンドにチームメイトと共に整列して挨拶をした雄太郎の姿を見て、涙があふれ出てしまいました。
移植前は「こんな姿を見る事は、もう出来ないのかもしれない」と、心の片隅で思っていたので、こんなにも早くグラウンドに立つ雄太郎を感動して見ていました。

移植後の登校

8月1日には尿毒症で吐いていた子が、その1ヶ月後には重い荷物も持って登校出来たというのはすごいことですよね。お母様も3日間は痛かったですが、その後は元気に生活していらっしゃるわけですからね。

濱崎さん
私も最初の2,3ヶ月は家族に大事にされていましたが、家族でお店をやっているので、年末からはどんどん店に出ろと言われていました(笑)。我が家は魚屋なので、年末はとても忙しかったです。
でも、隣に住んでいる主人の両親がとても優しいので、無理はしていないんですよ。
雄太郎には2人の妹(現在小学3年生・2年生)がいるのですが、移植手術の際に家を空けなければならなかった時にも主人の両親がいてくれたからこそ、安心して入院する事が出来ました。去年は、初孫の雄太郎の入院でたくさん心配をかけてしまいましたが、今は、雄太郎が元気になった姿を見せる事で恩返しが出来ていると思います。

濱崎さんのお家は魚屋さんなのですね!

濱崎さん
創業約70年の魚屋です。夫は3代目です。雄太郎は4代目ですね(笑)。
あと、我が家は、おじいちゃんも主人も野球をやっていました。おじいちゃん(2代目)は中学校・高校・大学・社会人野球と野球一筋でやってきて魚屋を継ぎました。主人(3代目)は、小学校から甲子園を目指す球児で高校まで野球一筋でした。そんな家系からか、雄太郎(4代目??)は小さい頃からいつもバットとグローブを持って公園に遊びに行っていました。
雄太郎が退院後、初めて主人とキャッチボールをした時には、嬉しくてビデオで撮影してしまいました。

野球

ご飯が美味しくて

移植後の雄太郎くんの日常生活ではどんな事に気を付けて生活をしていますか?

濱崎さん
移植後は口渇が減ったようで、あまり水分補給をしなくなったので、脱水にならないように、こまめに水分補給をするように言っています。最低でも1日2Lは飲むように気を付けています。また、おしっこを我慢することがあるようなので、尿意を感じたらすぐに出すように言っています。
また、移植後は、先生から何でも食べて良いと言われていましたし、雄太郎も食欲が戻りたくさん食べられるようになったので、私も嬉しくて、雄太郎の大好きなお肉をたくさん食べさせていたら、中性脂肪がかなりあがり、太ってしまいました。
生活習慣病から移植腎を早くダメにしてしまうこともあるので、食生活も考える必要があるとの指導を受け、現在は食生活にも気を付け、運動もして、標準体重に戻りました。

北田先生
この年頃のお子さんは、移植前の色々な制限の反動でしょうか、移植後はびっくりするぐらい沢山食べるようになりますね。特に雄太郎くんは美味しい魚の味を知っていますから・・・。

雄太郎くんの日常の服薬や、血圧、体重等の記録はどの様な方法で行っていらっしゃいますか?

濱崎さん
服薬に関しては、最初はすべて私が管理していたのですが、術後数ヵ月後からは、自分の体は自分で守らなければいけないという事を話し、雄太郎が自分で管理するようになりました。
ただし、1回1回飲み終えた薬の袋は必ず置いておくように話し、飲み忘れが無い事と数量の間違えが無い事を、もうしばらくは陰ながら私が管理していこうと思っています。
血圧、体重は定期検診の時に測定しています。

北田先生
小児移植の場合、お子さんが小さい頃はいいのですが、大きくなっていわゆる思春期になってくると服薬の管理も難しくなりますね。飲み忘れがあっても、おしっこは出るので大丈夫だと思ってしまうんです。それが危ないんですよね。飲み忘れてすぐに症状が出れば、事の重大さを自覚できるという意味ではまだいいのですが、自分ですぐには分からない。だから怖いのです。

濱崎さん
将来は雄太郎を家から出して自立させたいと思っているので、「いつまでも家には居られないのよ。」という話をしています。しっかりと自己管理が出来るように、自分の力で歩いていけるようになってもらわないと、と常に思っています。