MediPress編集部コラム【腎移植後のお金シリーズ】では、腎移植後の生活の中で、移植者のみなさんが現実的に向き合うお金の問題について、わかりやすく解説をしていきます。
第2回目の今回は、小児のための「医療費助成制度」について取り上げます。
<協力:東京女子医科大学 八千代医療センター 医療支援室 社会福祉士 ソーシャルワーカー 縄島正之さん>
※以下の文章内に含まれる情報は、2015年3月時点のものです。随時変更される可能性がありますので、最新情報は、各団体の担当窓口までご確認ください。
~腎移植後のお金シリーズ~
第1回 医療費助成制度と障害年金
第2回 小児のための医療費助成制度
第3回 身体障害者手帳により受けられるサービス①(税金、交通機関)
第4回 身体障害者手帳により受けられるサービス②(公共料金、公共施設)
第5回 腎移植後の民間の医療保険
第6回 腎移植後の民間の生命保険
助成金額は、お住まいの地域と所得によって決まる
第1回「医療費助成制度と障害年金」でも書きましたが、医療費助成制度は、お住まいの地域と所得によって対象年齢や助成範囲が異なったり、複数の制度を組み合わせることで自己負担額が変わってきたりします。
ですから、まずは病院のソーシャルワーカーや地域の障害福祉課に相談し、ベストなものを選ぶようにしましょう。
小児腎移植者のための医療費助成制度
小児の場合、健康保険・小児慢性特定疾病医療費助成制度・乳幼児医療費助成制度(子ども医療費助成)・自立支援医療(育成医療)、重度心身障害者医療費助成制度を組み合わせて利用し、自己負担額を軽減します。
◇小児慢性特定疾病医療費助成制度
この制度の対象者となるのは、18歳未満(引続き治療が必要と認められる場合には20歳未満)の児童です。
小児期における特定の疾患は、長期にわたって高額の医療費が必要となることから、家庭の医療費負担軽減のため、医療費の自己負担分の一部が助成され、自己負担の上限額は0円〜15,000円となります。
なお慢性腎疾患については、全部で46の疾病が厚生労働大臣の認める疾患に該当していますが、腎移植後についても、免疫抑制薬の使用を中止すれば再度症状が認められることが想定されるため、移植前の腎機能を勘案して適用されるとしています。
※参考:小児慢性特定疾病情報センターHP
◇乳幼児医療費助成制度(子ども医療費助成)
一般的によく知られている乳幼児向けの医療費制度です。疾患を問わず、乳幼児が病院・診療所などで受けた診療や、薬局でお薬をもらったりしたときの、保険診療の自己負担分が助成されます。
なお、それぞれの自治体によって、対象年齢や助成範囲が異なりますので、詳細については、お住まいの市区町村窓口に確認をするようにしてください。
また、制度を利用するためには、対象の乳幼児が健康保険に加入していることが要件となります。病院や薬局での支払い時に健康保険証とともに、「(乳幼児用の)医療証」の提示をする必要がありますので、事前に自治体に申請し、発行を受けるようにしましょう。
◇自立支援医療(育成医療)
18歳未満の障害のある児童を対象に、その身体障害を除去・軽減する手術等の治療によって確実に効果が期待できる場合に提供される、自立支援のための助成制度です。身体障害者手帳の有無は問われません。
具体的には、健康保険を適用後の医療費の自己負担額に対し、所得額に応じて、1カ月当たりの自己負担上限額を0~20,000円に設定しています。ですから、この制度を適用すると、1カ月の自己負担額の上限は最大20,000円となります。
※参考:厚生労働省HP
◇自立支援医療(育成医療)の概要
◇利用者負担額
◇重度心身障害者医療費助成制度
心身に重度の障害がある方を対象に、医療費の自己負担額を軽減する制度です。身体障害者手帳を取得されている方、もしくはこれから申請される方は、腎移植後は1級に該当しこの制度が利用できます。対象者が未成年者の場合には、保護者の方などに医療費が助成されます。
実施主体は都道府県や市町村であり、対象となる障害の程度や助成内容は、自治体によって異なりますので、詳しくはお住まいの市区町村の障害福祉課などにお問合せください。